妻は燃え盛っているらしい。
だから、そうじもできず、ふとんも干せず、 子供のめんどうも見られず、 食事を作るのがやっとらしい。 そして、夜は夜更かしをして体調が崩れ気味らしい。
あ、なんだ。 いつもと変わりないか。 食事もしきりに手抜きだとあやまってくれるのだが、 いつもとどう違うのかちっともわからない。 言うと怒るので言わないが。
そんなときに非常事態だ。 なんと明日から暖かいのだという。 しかし、僕の薄手のコートはボタンがとれているのだ。 またボタンバトルか。 しかも、敵は臨戦状態だ。
しかし、遠慮ばかりはしていられない。
そして、案の定。
「は?」
「ボタン??」
「つけろ???」
「ここのとこの私を見てよくそんなことが言えるわねえっ」
「キャンバスはリもろくろく手伝わないくせにっ」
そうだった。 それでもめたばかりだった。
しかしねえ、君。 そうやってかちゃかちゃキーボードたたいてるひまにできるでしょうに。 いくら不器用だって、そんなに時間がかかるわけでもないでしょう。
「ナニ言ってんの」 「みんなが期待してるのはボタンつけをする私じゃないんだよ」 「けちぞう日記を書く私なんだよ」
み、みんなって誰?
僕が求めてるのはボタンつけをする妻なんですけど。
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