I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
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2024年02月17日(土) ■ |
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『THE WILD 修羅の拳』『2024 小林建樹ライブ 25周年、一緒に楽しみましょう!』 |
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『THE WILD 修羅の拳』@シネマート新宿 スクリーン1
某ダルス氏の写っている画像をSNSに流すのには躊躇するので、考えた末スタンプで隠してみた。しかし今回観てやっぱ演技巧いなーと改めて思った。残念なことです。しかしソンウンさん、『ウンナム』に続いて某ダルス氏と共演ね。援助の気持ちもあるのかなあとちょっと思った。
原題『더 와일드:야수들의 전쟁(ザ・ワイルド:野獣たちの戦争)』、英題『THE WILD』、2023年、キム・ボンハン監督作品。男がダメで女がそれに巻き込まれる。そんで女が陵辱されまくる。そんななか、ソンウンさん演じる主人公だけが硬派で優しいく不器用という図式。いやー90年代の日本のVシネみたいだった。懐かしささえ感じる。マダムが強くて格好よかったが、演じたヨンスさんはこれが遺作とのこと。なんだか象徴的だな……と思い切なくなる。
で、どんどんひとが死ぬんだがまあどいつもこいつもですよねー報いを受けろやという死に方なのでいいのではないでしょうか。お前が生き残るんかーいとは思ったけど、彼の境遇を思えばいいんじゃないの。でも幸せではないよね。そんで女の生き残りもそんな……なんもいいことない! 何あの最後の幻想! キエーつらいしかない!『アシュラ』のオマージュかなーと思うシーン(コップを食べそうで食べない)もあったがまあ結構なバイオレンスです。クスリダメ絶対。
しかしソンウンさん、『ハッピー・トゥゲザー』に続いて漁船に乗せられそうになってた。そして結果的に「あのときカニ漁船に乗ってればよかったんだー!」なんていわれてしまう(ヒドい)不憫な役でした。アクションは流石だし、格好よかったけど。黙って立ってる姿がもう絵になる。
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・輝国山人の韓国映画 THE WILD 修羅の拳 いつもお世話になっております。今回パンフ販売なかったので本当助かる
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『2024 小林建樹ライブ 25周年、一緒に楽しみましょう!』@Com.Cafe 音倉
このあと数字をひっくり返して52〜とかやってた。いわれてみればご年齢。帰宅後テイラー・ホーキンスの誕生日のお祝いがSNSに沢山流れていて、そうか、同じ歳だったんだな……と思う。
入場時にはプレゼントとしてサイン入りポストカードが配られ、入口にはスタンド花、ピアノの横にはバルーン。開演前に「最後、写真撮影の時間を設けますので、是非撮っていってください」とのアナウンス。『Gift』レコ発でもあり、25周年記念でもあった。ファンへの感謝が端々に感じられる内容で、なんだか申し訳なく思ってしまうくらい。こちらとしては小林さんの音楽が好きなただのいちリスナーですからね。それもあり、終盤のMCには少なからず衝撃を受けた。「皆さんを裏切らないようにしたい」といったのだ。先月窪田晴男について、彼には一度も裏切られたことがないなあと思い返していた。偶然にしてもドキリとする。
こちらとしては、これ迄小林さんに裏切られたと思ったことなど一度もなく、これからも好きなように音楽をつくり続けてくれれば何もいうことなどないのだ。責任なんて感じなくてもいい。極端な話、音楽をつくるのが苦痛になったら休んでもいい、止めてもいい。もう充分過ぎるくらい沢山のものを受けとっている。もうホントさ、元気で生きていてくれるだけでいいんだよ。新しい曲や演奏が聴けたらもう、そのひとつひとつがご褒美ですわ。なんて思ってしまう。
とはいうものの、やはりこのひとの真骨頂はライヴだなあ。とも思う。頭の中の音楽を、身体を通して次々とアウトプットしていくプロセスが観られる、聴ける。まさに「実演」。いつでもどこでも繰り返し聴ける音源があることはとてもうれしいのだが、何しろ「実演」は毎回違うのだ。コンディション云々だけでなく、演奏そのものが具体的に毎回変わる。エレアコにもグランドピアノにもエフェクターをかまさず、楽器そのものの音を聴かせる。それでも毎回別ものなのだ。音楽がいきものになる瞬間を目撃出来る。
一時期はリズム(ひとりポリリズムの実践!)に興味が行っていたようだが、今はコードを探求中なのだろうか。ニューオーリンズジャズのテイストが感じられた。その上この日はギター(ピアノもだが。てことは結局どっちもなんだが)でえっらい複雑なコードを連発していた。コードを押さえること自体がもうたいへんそう(指がつりそう・笑)で、ひとつひとつ確認するような仕草でフレットを押さえていく。今日のライヴは(キーがD=ニ長調に代表されるような)明るいキーでつくった曲を選ぼうと考えて、と話していたが、もはやその音階を用いてつくったメロディにそのコードを当てるんかい、という領域に足を突っ込んでいる。このコードを当てたらどうなる? と実験しているようにも見える。そうなると、イージーに「明るい曲〜」なんていえる訳もない複雑な音が展開されることになる。「明るいのだが、何だか不穏」、「明るいんだけど、なんだか悲しい」。楽曲の新しい顔が次々と掘り起こされる。そのうえに一筋縄ではいかない歌詞が乗る。あの声で乗る。ますます曲の世界が拡がる。
菊地成孔が高橋徹也を評していった「トゥイステッドポップ」を連想する。コードを「当てる」、ビートを「置く」。釣りでいうところのアタリを探っている。ひとつの楽器とひとりの声が、捻りに捻ったアレンジで一周(か? 二周も三周もしているようにも)まわってポップに響く。ここでまた考えてしまう。自分で引用してしまうが、
菊地さん曰く「ジャンルミュージックにお手本がな」い。過去の偉人たちの功績に彼らにしか出来ない手法でアプローチし、曲を書く。“野生の思考”といえるかもしれない。そうして出来あがったものは、安易に名前をつけられない“発明”になる。だから、再び菊地さんの言葉を借りると「一回ファンになった方はもう一生離れない」魅力を孕むのだろう。これは小林さんにもいえること。 引用//・『小林建樹と高橋徹也、と菊地成孔の話』┃I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
野生のアナライズは、唯一無二の音を生む。「(略)テンションコードに出会ったのが十代後半。それまで探り当てられなかった中間の響き、着地しない感覚を得て曲作りが劇的に自由になった。独学と言えば聞こえが良いけどレコードと本のおかげ」という高橋さんのツイートを読み、あながちこの見立ては間違ってはいないのかもと思った。
ピアノを弾く姿勢はなんだかグールドみが増したというか、こんなにちいさくかたまって弾いていたっけ? と思う程背中を丸め、演奏に没頭しているよう。後半の予告なしメドレーでは、「えっ、メドレーなんだ!」という驚きとともに、曲間のブリッジに弾かれるコードから「次の曲はこれか?」「あれか?」と待ち構えるのも楽しい。ここはめちゃめちゃエキサイティングだったなー。演奏後「独りよがりになってしまって」と苦笑していたけど、弾いてて楽しくなっちゃうんだろうな。それを聴けるからこちらも楽しい。
新譜『GIft』からもかなりの楽曲を披露してくれた。リリース前にライヴ(弾き語り)で聴いていたものは「おかえり!」といった感じでもはや馴染み深く(笑)、さまざまなアレンジが施された音源の方で聴いたのが先だったものは、「“Two Hands One Mouth”でこうなるんだ!」と瞠目する。バンドセットで演奏したらどうなるかな、とも思う。歌詞についての解説も興味深く、「キミ晴、語る」のカタカナ使いは九段にある史料館(昭和館か遊就館だと思われる)で見た書物からインスパイアされたというのには驚かされた。普段から図書館等の公的施設をよく利用しているようだが、発想の種はいろんなところにあるのだなあ。といえば、「歳ヲとること」のカタカナ使いはどこからの発想なのだろう?
「(レコーディング後は)ずっとPC上の作業になるので、根を詰めてやっていたら、ある日腕が上がらなくなったんです。これは……あれか!? って。(同世代であろう)皆さんもわかりますよね、あれです」で頷くひと多数。「あれは治る、治りますよ」とちいさな声援(?)も。わかる。治るよ!(笑)ミックスやマスタリングも全部DIYだったようだ。今回のアルバムが所謂フィジカルで、しかもご本人いうところの「王道のCDパッケージ」でリリースされたことはとてもうれしかった。ラジオ出演等、プロモーション活動(! 久々じゃない?)も行なっているし、多くのひとに届くといいな。
今回は、メジャー時代から聴き続けているであろう同世代、近い世代に向けての感謝、という側面があったように思う。「何もいわなくてもこうして来てくれて、ねえ」なんていっていた。「明るい曲」を意識的に選んだことも、『一緒に楽しみましょう!』というライヴタイトルも、アニバーサリーというだけでなく、あまりにも悲しいことが続く現実に疲れ傷ついた心に、少しでもホッとする時間を提供したいという思いが込められていたのかも知れない。『Gift』は、小林さんに宿る音楽のギフトでもあり、そのギフトをおすそ分けしてもらった聴き手へのギフトだ。
個人的には「Rare」が聴けてとてもうれしかった。「『Rare』という曲をやります」といったとき、客席から思わず口に出てしまった、という感じで「やったあ」と声があがった。フロアが一瞬ざわっ(さわっ、くらいかな)とし、続いてあちこちから「だよね」「わかる」なニュアンスでくすくすと笑い声。ささやかな騒ぎに気づいた小林さんが、一瞬客席を向きニコッと微笑んで弾き始めた。あれはいい光景だった。演者と聴衆のいい関係。
「次は30周年がやれたらいいな」。楽しみにしています! でもここから5年音信不通になるのはやめて(笑)! でも無理せず!(複雑)
(セットリストはツアー終了後転載予定)
(20240226追記) ---
Setlist(オフィシャルサイトより)
01. Window(『Window』) 02. カナリヤ(『流れ星Tracks』) 03. 満月(『曖昧な引力』) 04. How?(『Window』) 05. 斜陽(『Music Man』) 06. Sweet Rendez Vous(『曖昧な引力』) 07. 魔術師(『Gift』) 08. トモダチDays(『流れ星Tracks』) 09. 水瓶座(『何座ですか?』) 10. アンブレラ(『Gift』) 11. イノセント(『Music Man』) 12. アントニオ(『Rare』) 13. Rare(『Rare』) 14. キミ晴、語る。(『Gift』) 15. 生存本能(FC特典楽曲) 16. ヘキサムーン(『Music Man』) 17. 歳ヲとること(『曖昧な引力』) (15〜17はメドレー) 18. 祈り(『Rare』) encore 19. Goodtimes & Badtimes(未発表曲) 20. Gift(『Gift』)
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・「しんごくんはどこ?」の話(観られる方は配信で是非)。誰と間違えられたんだろう? と休憩時間に1999年のSM●P画像を検索し「ゴロちゃんかな?」「つよぽんじゃない?」と確認している様子があちこちで。ワタシたちのテーブルもその話に花が咲きました。初対面同士なのに、昔話で盛り上がったりして楽しかった〜
・25のバルーンを持たされてる姿。なんだか藤井聡太八冠がいろいろコスプレさせられたりお茶会に出席させられたりしている様子と被りましたわ……(笑)。ファンのためにって感じでやってくれたんだろうなあ、感謝感謝
・それにしても、メジャー時代の楽曲をYouTubeで使えないって話。よく聞く例ではありますが、レコード会社の契約ってホントさあ〜と思う。自分の曲なのにね。それこそ菊地さんや五十嵐一生のように版権をクリアにして取り戻せないものだろうか
(20240226追記) ・東京、神戸、ワンマンライブ、ありがとうございました!┃小林建樹オフィシャルサイト 節目の祝い事は恥ずかしくて逃げてしまうことが多いのですが、応援してくれる方のことを想像し、恥ずかしさを跳ね除け開催させてもらいました。 ですよね……有難う有難う。 そしてタバコやめてたのね、「禁園」を唄ってたひとが! いやいや自分で納得してやめてるのならよきかなよきかな。そしてさりげなく次のライヴが発表されている。うれしい!
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