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2021年02月15日(月) ■ |
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『イキウメの金輪町コレクション』丙プログラム(節分祭) |
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『イキウメの金輪町コレクション』丙プログラム(節分祭)@東京芸術劇場 シアターウエスト
14日のマチネを観ました。この土日は雑念なく没入出来る力のある舞台を続けて観られてよかった。
劇団先行のチケット発売日直前に緊急事態宣言が発令。公演数、開演時間、座席数が仕切りなおしになりました。内容以前に「行ける日時」が最優先事項となり、とれたのがこの丙プロ。今回全部のプログラムを後日配信予定とのことで、甲乙プログラムはウチで観られるかな。
さて、丙プロ(節分祭)はこんな内容。
----- コント『インタビュー』 『弁明』 落語『高速ジジババ』(「生きてる時間」より) 芝居『賽の河原で踊りまくる「亡霊」』丙バージョン -----
「節分祭」って何だろう…他のプログラムにはこういう副題ついてないけど……と思っていたら、成程金輪町で行われている恒例行事「節分祭」で奉納される演目、というテイなのでした。タウンFMのアナウンサーが司会進行を務め、金輪町の住人がコント、落語、芝居をやる。ウマい! こりゃ一本とられた! これなら一見バラバラなフォーマットの作品に整合性が保てる。いやー、ウマいな。
そもそもは昨年の『外の道』の公演がコロナ禍で延期になり、作品づくりの過程をワークインプログレス(WIP)としてweb上に公開したのが始まりです。こういう転んでもタダでは起きない、理不尽なトラブルに巻き込まれても解決策を模索するという姿勢はイキウメ作品全般にあるものですね。で、横道に逸れたりして。その横道にまたヒントがあったりして。
・『外の道』WIP┃イキウメ
実はイキウメで上演されている不思議な出来事は、金輪町という同じ町で起こっていたのだ! これを機にまとめてみようぜ! となったようです。で、追究していくとこれがまー出る出る、アイディアが。タウンガイド、調査報告、研究発表に地図やジオラマ(すげーぞこの工作魂)なんかもつくっちゃったりして。不思議な出来事が起こった場所をマーキングしていくと、60箇所にも上ります。町おこしにはある意味なってるんだけど、同時に風評被害も生むし、何より住人にとって気持ちの良いものではないので、やっぱり苦情も来ます。それを不動産業者が弁明したりして。ほらほら、この辺からもう現実と虚構の境目が曖昧になってきてますよ。観てるこっちもこの波に乗らない手はない。ふむふむそれで? この町ではどんなことが起こっている? そこで過去作品のアーカイヴ映像が効いていくる。いや、ホントすごいな。イキウメの至れり尽くせり。
以前観たコントに笑い、以前観た作品から生まれた不思議を思い出して弁明に苦笑し。そんななか初見は『高速ジジババ』。「生きてる時間」から、らしい。あーこれ、日程がどうにも合わなくて行けなかったやつなんで観られてうれしかった!
住人のサロンになりがちな理容店。そこで耳にしたウワサから、と店主が噺を一席。ううーむこの設定もウマい、隙がない。「男は話が長い」なんて時事ネタもチラリ。当然拍手が起こります。さてその“ウワサ”、『高速ジジババ』。とある“保険”に加入した老夫婦の行く末は。柳家三三さんの落語初めて聴きました。マクラ〜本題〜サゲへの話運びの洗練されていること。ジジとババの軽妙なやりとりから浮かび上がる夫婦の機微、笑いと怖さ、生と死がこうもするりと腑に落ちるのか。万雷の拍手。鈴木いづみの「速度が問題なのだ。人生の絶対量は、はじめから決まっているという気がする。細く長くか太く短くか、いずれにしても使いきってしまえば死ぬよりほかにない。どのくらいのはやさで生きるか?」を思い出しました。
「ふたりは何故あんなことになったのか」「その後ふたりはどうなったのか。HPをご覧ください」と、アーカイヴへと集約していく流れもお見事。
トリの『賽の河原で踊りまくる「亡霊」』の前に「今年の鬼」の紹介。ううーむ、行事なので福男みたいに毎年鬼が決められるんですね。ウマい(何度目か)。という訳で過去何度も再演されているこの名作、冒頭に書いたように、安井さんが鬼じゃないヴァージョンを初めて観る。これがまたウマくて(何度目)、安井さんは今回亡霊側。つまり、「安井さんが鬼になる迄」の物語になっていた。いや安井さんて役名じゃないけど。便宜上。はあ〜こうして後世に伝えていく訳ですよ。巡る巡るよ人生は。切なくも優しい気持ちになる名作。ホント名作なので繰り返し上演されてほしいものだけど、こうしてフォーマットを変えて観るとまた味わい深いものです。
ロビーには金輪高校のバス停留所が展示(撮影可・上記のtweet画像)。ジオラマの展示もあるのですが、丙プロは舞台上でジオラマを使用するため展示エリアはお留守となっておりました。
イキウメの底力思い知ったり。『外の道』も楽しみにしています。
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うんうん頷く
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