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2017年09月20日(水) ■ |
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菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール『戦前と戦後+』 |
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菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール『戦前と戦後+』@渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
やー久しぶり、ここんとこMOTION BLUE YOKOHAMAでのコンサートが続いていたのでなかなか行けず、都内のホールで聴けたのは『歴史は夜作られる』以来かな。先月『TABOO』にも出ていたけど行けなかった。UNITでPTA、どんな感じだったんだろう。
というわけで新しいストリングセクションを聴くのもお初です。なんでもガン○ム景気でストリングセクションをゲストでなく雇用出来たそうです、嘘ですと菊地さんがいうてました。ちなみに全員小学生だそうです、嘘です。1st、2nd Vn. が女性、Vla. とVc. は男性。女性陣は自分たちの演奏の合間にリズムセクションを楽しそうにニコニコ聴くおおらかさ、男性陣は切迫した表情で譜面とコンダクターを見つめる緊張感。この楽団に入るとMCでいじられる運命がついてきますが、全員あのMCにうまいこと対応(受け流しからなんから)しており、それにもびっくりした。まだ聴けてない新編成のDC/PRGにもバンドのことをなんも知らんで入ってきた新人がバキバキにやってるそうですし、こういうある意味鬼っ子たちの今後は楽しみですねえ。
それにしてもVnのふたり、あのますますカオスに渦巻くリズムをニコニコして聴いてるのはすごいなと思った。2nd Vnの方なんて八歳なのにすごいなあ。嘘だけどなあ。全編リズムの構造が底からごろっと変わった印象だったんですんですが、こういう変化は逆にストリングスが一新された今やるのが得策ともいえる。その変化にまず嬉々として乗っかるのは鳥越啓介と林正樹(菊地さんいうところの天才と日本の宝)ですが、水を得た魚のようでした。このふたりは現場が修行、修行が本番のジャズ畑のひとたちなのでいつそれが起こっても対応出来ると思うんです。でも多分ストリングスはそうはいかない。新顔が加わったリハで慣らしておくにはいい機会だったのかもしれない。田中倫明/大儀見元のパーカッションペアは己の進む道を進めば進むほど楽曲に官能的な野性を宿らせるのでコンダクターも満面の笑みでいっつまでもソロから戻らせない。「Killing Time」のソロ、いつもよりなっがかったような気がします(笑)。それこそDC/PRGの「Circle/Line」のブリッジのようだったよ。やー、俺生まれかわったら大儀見になる(©菊地成孔)。
そうそう、ライヴでオムスくんがいない「Caravaggio」久々? 初めて? 聴いた気がするけどこれがすごかった。キップ・ハンラハンの紹介から英詞の解説、ポエトリーリーディングからラップ、そして歌。日本語詞の紙が透けて見える、手書きでところどころぐしゃっと塗りつぶした痕跡がある。読みあげながら紙の束をめくっていく。菊地さんのライヴはMC込みの流れも含めひとつの作品だなあ。そんでやっぱ声がいいよな〜と思ってたらきましたよ「Woman(Wの悲劇)」! 冴えてる! この日は構成もキレッキレで、オープニングにチューニングタイムを設けずすぐ楽曲に入り(チューニングは中盤に一度だけ、というのも珍しかったような)曲間も殆ど空けずガンガン進めるスピード感。その曲間も指パッチン(菊地さんの指パッチン絶品よな)でBPMの指示出ししてるようなものなのでコンサート本編でひとつの組曲になっているようでもありました。このスピード感もDC/PRGらしくなってる…では今のDC/PRGはどうなっているんだろう? ようやく来月観られそうなので楽しみになってきた。
あっそれで思い出した。むか〜し窪田晴男が歌ものアルバム出したときに、ドラムレス、パーカッション×2(ヤヒロトモヒロとWhachoだった、確か)の編成で、一度もビートを切らさずノンストップで全曲唄うという構成のライヴをやったんだけど、それもアフロビートが基調だったんですよね。あれはよかったなあ。菊地さんと窪田さん、また何かの機会に共演してほしいなあ。
閑話休題。楽団で息を吹き込んで演奏するパートはサックスのみ(空気を吹き込む、という意味ではバンドネオンもあるが)。心肺のコンディションがテキメンに出る楽器でもあるので、今回ちょっと不安定だったのがちょっと心配。歌では全くそう感じなかったので、歯がどうかしたのかなあなんて余計なお世話なことも考えたりしました。毎回見るマウスピースを外す場面がなかったし、何か変わったのかな? 久しぶりに観るといろんなことが気になります。変わらないのは、どんなときでもショウは素晴らしいところ。親父に陰口と自慢話だけはするなといわれて育ったけどその親父ももうくたばったので自慢をします、素晴らしい楽団員たちの自慢を。とはじまった長尺のメンバー紹介もひとつの作品。日本を離れパリへ拠点を移した(コンサート当日に旅立たれたとのこと)中島ノブユキへのはなむけの言葉にもグッときた。「今日いらっしゃいませんか」とメールをしたら「今成田なんです」と返事がきたというエピソード、空港がらみでハラカミくんのことを思い出して視界がぼやけた。菊地さんはひととの別れを言葉で描き、その思いを音に孕ませる。粋です。
思えば前回のコンサートはインストオンリーの第一夜のみ行ったので、菊地さんの歌を堪能したのも久しぶりでした。よい夜。
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・ツアー中のメキシコで地震に遭った鳥越さんは無事帰ってきていましたが、19日にまた地震があったとのこと。スカパラが出演する予定だったフェスも中止になった。来月頭にスクエアプッシャーも公演の予定が入っていたけどどうなるんだろう
・渋谷で深夜2時まで営業する角打ちサンドイッチスタンド、その名も『ドレスのテイクアウト店』 - メシ通 さくらホールだったので行く途中でここのサンドイッチが買えた〜ウマイウマイ
・クラシック系のコンサートだったんで咳が出ないか怖かったよー! なんとかもってよかった……。冒頭の微弱音のときには出ないでくれ〜とすごい緊張してた…緊張するとそれがストレスになって逆に咳が出やすくなるような気もする……はよおちつきたい
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