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2017年05月21日(日)
『アンタッチャブル』

『アンタッチャブル』@TOHOシネマズ新宿 スクリーン12

『午前10時の映画祭』にて鑑賞。もうシーズン8なんですね。スクリーンで観るのは初めて、有難い。

カナダのくだりをまるっと忘れていた自分の記憶力に愕然。今観るとよりクラシックな香り高く、スタイリッシュな映像と演出に魅了される。アップが多い、カメラが近い。それに堪えうる美しい相貌と、表情で物語る役者が揃っている。この作品におけるケヴィン・コスナーの美貌は映画の財産だと思います。そしてこの映画で一躍名を挙げたアンディ・ガルシアの美しさも特筆もの。眼福です。

同時に、今のハリウッドならこうは撮らないだろうなという思いもわく。たとえば終盤、『戦艦ポチョムキン』からの引用である乳母車の名シーン。ものすごく長い。その後銃撃戦になった際、ネスが乳母車を守ろうとした母親にとった行動。そしてクライマックス、ネスが殺し屋ニッティにとった行動。長いといえば、マローンの最期も長いですね。これは公開当時から「何せマローンは007だから」なんていわれてましたね(笑)。ようがんばったよおじいちゃん……(涙)。

手段は選ばない。「法に触れない範囲で」といっていた主人公が変貌していく。法にまかせておけるか。仇はこの場で討つ。友はかえらない。そういったシーンの数々に、時折胸がすく思い。後ろめたい。そういう意味ではノワールな側面もあったんだなと気づく。これは当時はわからなかったことだなあ。名作はこうして時代を映す。今のハリウッド、今のアメリカ。高い理想。

あと偏見なんですが、おじいちゃんというとちっちゃいイメージを抱いてしまうので、ショーン・コネリーが全身映る度「あっ、このひと長身だった!」といちいち思い出してビックリするという。ケヴィン・コスナーよりおっきいよね……お素敵でした。また愛嬌があってねえ。うう。