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2014年03月30日(日)
『成河一人会〜稽古場への招待〜』

『成河一人会〜稽古場への招待〜』

公開稽古の形式で、ひとり芝居やひとりミュージカルを見せて頂きました。稽古場見学みたいなものかな、面白そう、と気軽に申し込んだらサイン入り写真の手渡しと握手会がありますとお知らせが来て狼狽える(笑)。昼の部に参加しました。

スタジオにパイプ椅子が並べられ、セットらしいものは黒い幕で包んだ高座のみ。二畳くらいかな。マネジャーさんから挨拶と今回の企画の説明があり開演。と言っても稽古場なので、地続きで始まる感じです。スタジオ内にあったついたての裏から成河さんが走り出て、軽快に高座に飛び乗りパッと正座の姿勢。その間二秒くらい?あれみたいだった、『義経千本桜』源九郎狐の登場シーン。上下白(白いシャツに白いパンツの稽古着)だったしね。裸足で軽やかな仕草。わ、ホントに『真夏の夜の夢』のパックみたいだ。「ずっとここに隠れてたんですよ〜(笑)」。スタジオなので控え室はなく、開場したときからずっとついたての向こうに潜んでたんですね(笑)。うわ〜近い、男性もいますね!なんかこういうの初めてなんで緊張する、と言ったようなことを矢継ぎ早に話し、すっと場を持って行きました。

稽古場は恥をかく場所だと思っています、恥を見せると言うことは共演者への信頼の証だと思っています。それを今回見て頂ければ、とのこと。そうか、それを観客にも見せてくれるのだ。とても貴重で有難いことだし、観客をも信頼してくれたのだ、と嬉しくもなりました。

世間話のようにプログラムの説明を始める。ひとり芝居とひとりミュージカルをやります。まずはひとり芝居。作品を知らない方のためにとあらすじを語り出し、さていよいよと言う瞬間…テンション高い台詞を豪速球で投げてきた。息つく間もなく作品のなかへ。間近でスウィッチングの瞬間を観られて鳥肌。

主要ふたりの他にも十人近い人物を演じていったのですが、これがまた…性別も年齢も職業もさまざまな登場人物たちへの切り替えが早い早い、照れている暇などないのです。恥を見せると言うことは、迷いを振り切ると言うことでもあるのだなあと思う。ひとつの作品からある場面を抜粋したものなので、どこ迄やるのか判らない。テンションはどんどんあがっていく、顔が紅潮し、シャツに汗が滲んでくる。なのに台詞は終始クリアで醒めている。稽古場なので客電(と言うか地明かり)は勿論つきっぱなしだったんだけど、あまりの迫力に涙するお客さんが沢山いました。

正座に戻る。ニコッと笑う。あ、ここ迄か。我に返った観客から拍手が起こる。すごかった……。

ミュージカルナンバーはふたつの作品から選曲。しかも前半はマネジャーさん曰く「ミュージカルの歌は台詞なので、台詞として聴いて頂きたい。敢えてアカペラでやります」とのことでオケなし。唄い出す前スマホでキーを確認し、曲間「これがまた面白いんですよ〜これもひとりでやるんですよ〜」と自分ツッコミをしつつあらゆる役柄をひとりで演じ分けて唄っていくマヤっぷりです。うわあ「役者って生きもの(@つかこうへい)」だーと恐れ入るばかり。役の顔と、演じ終えたあとのてへって笑顔のギャップが激しい!怖い(敬意を込めて)!休憩時ぱたぱたっとトイレに駆けて行く姿すら尊敬の眼差しで見てしまったわ……。

二度のトークコーナーでは四日前の誕生日を祝うべくハッピーバースデイの歌でお迎え。ご本人には内緒だったのですごいおろっとなってた。おろっとなり乍らケーキの上のイチゴをつまんで食べてた(笑)。伊礼彼方さん、浦井健治さん、井上芳雄さんからの音声メッセージが流れてうひーってなってた様子もおかしかったわー。キス魔だとかおしゃべり好きとかってコメントが流れる度に「何言ってんだ」とか「やめて」とかエア返事をしていた(笑)。芸能界に友達殆どいなんだけど、彼らはその少ない友達…みたいなこと仰ってましたが、その少ない友達がミュージカル界隈ばかりなのな。井上さんと出会ったことでミュージカルへ興味を持つことが出来たと言ってました。『アジア温泉』での歌も素晴らしかったし、これからミュージカルへの出演も増えていくかも知れないですね。

最後に“あの”口上。役者と言う生業を選んだ彼が語るあの台詞は、あらゆる人物、人外、何にでもなれる役者と言う生きものの言葉でもありました。閉会の挨拶からふっとこの台詞に入り、不意打ちだったこともありこちらもほろり。この台詞を語る役を演じられるひとは選ばれたひとで、彼はそのひとりなのだ。

退場のときちょっとお話出来ました。緊張した…ホントに目がくりっくりでキラッキラしてた(笑)。綺麗な瞳でした。

・成河一人会20140330 - Togetterまとめ