初日 最新 目次 MAIL HOME


I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
MAIL
HOME

2014年02月23日(日)
『サニーサイドアップ』

M&Oplaysプロデュース『サニーサイドアップ』@本多劇場

お初のノゾエ征爾作品。予備知識全くなしで行ったんですが、こ、こんな話とは(笑)。

荒川良々の一生。と言うか荒川さん演じるたいくんの一生、だそうです。皆さん当て書きだわあ〜と感じさせる箇所がもーありありで!ありありで!いろんな!邪念が!あかほりさんの役とか…ね……。

しかし当然そのまんまではない訳で。離婚後慰謝料やらなんやらで住むとこなくして居候してる先輩、虚言癖と盗み癖がある付き人、エポックごとに何故か遭遇する同級生、田舎から出てくる父親。幼いころ失くした(亡くした…ではない、と言うことが後に判明)母親。壁の隙間に挟まったたいくんが救出される迄の時間、或いは救出されたあとの時間が描かれます。意外と短い人生。

あるあるとないない、虚実入り乱れた彼の人生は、人生泣き笑いの様相。滑稽だけどなんだかほろ苦い。たいくんが自分の人生を語ったり振り返ったりしているようで、本人が知り得ない光景が次々と出てくる。それをたいくんが見ているかは実のところ判らない。大きな存在が壁に挟まった彼を見下ろし、彼の周囲のひとたちを見下ろし、そして何もしない。見ている視点は観客にもおすそわけ。各々の役者のおかしみがじわりじわり。小野寺さんが台詞話すの初めて聴いたので新鮮だったわー。彼の奥さんは実在したのか、そしてこどもは?飾ってあるのは遺影なのかそうでないのか。架空の?現実の?家族三人で食べる目玉焼きの味を思う。虚言は想像で、想像力はひとを生かすことが出来る。なんだか『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を思い出してしまってほろりときそうになりました。

ボードをスライドさせての場面転換は、その板の陰に登場人物が隠れて移動するトリッキーさも含め、抽象的なのに実用的で面白かったです。端っこ前方の席だったので、隠れて移動するあかほりさんのおしりとか見えておかしかった。小野寺さんはちっこいし身体もキレるのでこういうとこ流石の身のこなし。皆のダンスもかわいかった。鹿児島ネタやラグビーネタが多かったのも楽しかったです。

ミスターオカモトってなんか元ネタあったのかな、あれだ、あれ、「ヤッター!」のひと?なんだっけ名前!とか話してたんだが、帰って検索してみたらそれはヒロ・ナカムラ演じるマシ・オカで(『HEROES』)、ぜんっぜん関係なかった。かけらも合ってなかった。名前すらかすってない。