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2014年02月03日(月)
ブス会*『男たらし』

ブス会*『男たらし』@ザ・スズナリ

お初のブス会*。今回のお話はブス女とゲス男が対峙すると言うものなのかー、とチラシを見ていたら出演者のなかに大窪人衛くんの名前を発見…「ええ?あのかわいい子が?高校生とかの役ばっかやってる子が!?」と思ったのがきっかけです。24歳と実年齢も若いが、並外れた童顔とカストラートヴォイスの持ち主で、イキウメではこどもの役を数多く演じている役者さんです。『暗いところからやってくる』なんて13歳の役でしたよ……。近作の『片鱗』は、高校生乍らも色っぽいところがある役柄で、これは劇団の方でも役の幅をひろげて育てていこうとしているのかなーと思っていたのでした。そこへゲス役。これは新境地が見られるかも?大人な大窪くんが見られるかも?てな動機だったのですが。

大窪くんの役、とってもいい子やった…そしてまた高校生役だった……。

いやしかし、いい子なんだけどそれは丸出駄目男な父親(古屋隆太さん最高。このひとホント面白い……)の姿を見ている反動で、ああはなるまいと懸命に自制しているんだけど実のところ父親と同じ資質を持っている…と言う田中慎弥『共喰い』を思い出させるような子でして。この子がこのままいい子でいるのか、ゲスへと育ってしまうのか、それは今後の心掛け次第ですねー。いい子に育てよ…厳しいかもしれんが……。

この高校生はDVの父親から母親を守れなかったと言う悔いがあり、家を出て行ってしまった母親あるいは母親のような存在を追い求めている。そんな経緯を抱えて父親の新しい彼女と打ち解けていきます。ところがやっと仲良くなってきたふたりは、ちょっとした誤解で言い争いになってしまう。そのとき彼女に「マザコン」と言われちゃう…あーそれ言っちゃあかん……その途端、父親と同じ顔がその子に現れてしまう。

そのあと彼は父親に優しくなる。と言うか、反発から憐れみへと態度が変わる。ああどうなってもこのひとは自分の父親だ、と言う諦めと、あんなに嫌っていたけど自分も同じ火種を抱えていた、と言う自覚と。しかしその憐れみが、これはやばいな〜ってな施しへと向かっていっているところが一筋縄ではいきません。父親と別れた彼女とも関係が軟化する。彼女も言っちゃいけないこと言っちゃったなーって負い目があるんですね。しかし、その軟化も泥沼系へとズブズブズブ。

男の業も女の業も面倒なもので、どっちもどっちと言えばそうなのよってなシチュエーションがどかどか迫ってくる。古屋さん、大窪くん以外の男優さんは初見でしたが皆ゲスで素晴らしかった…カタログのように各種ゲス取り揃えてあった。そして皆さん当て書き?と思わせられてしまうくらい達者…作・演出のペヤンヌマキさんによるモデリングが素晴らしいと言うこともあるのでしょう、おそろしや〜。ペヤンヌさんが実際言われたことあるのかなーってな台詞もドカドカ。私にもありましたわよ!どれかは書きたくないわ(笑)ああつらい。

五人のゲス男とただひとり対峙する、内田慈さん演じる女性は仕事でどんどん成果をあげていく。成長しとるがな!しかしここであーやっぱ女はつえーなーって言われても全然嬉しくないっつうか、おめーらがダメだからこっちが死にものぐるいでがんばったんだろーがよおおお!あああめんどうくせえ!と言い放ちたくなる成長なのですよオホホホホ、トホホホホ。話が進むにつれ服の趣味が変わっていくのが面白かったわ…荷物運ぶときはめくれたシャツからパンツをチラ見せ、取材のときは関西か?てな派手柄プリントワンピ、ラストシーンは背中がばっくり開いた白のワンピ。シチュエーションによっていろんな衣裳が見られて眼福でございました。マーメイドラインの美しいこと!

まあ女も女でいろいろダメです。男も女も、あの高校生のように「許し」の心をお互いに持ちたいものだと思いました。それが諦めでもな!寛容ってだいじ!そこにつけこむひともいるけど!ただ、施しはねー。貢ぐ女と紙一重なところがあるので、気をつけた方がいいと思うよ…と言いつつ、私大窪くんに騙されているのかしらと不安にもなっている。これで素の大窪くんが女たらしだったら、末恐ろしい役者さんだわ……カーテンコールではほっぺが赤くなってて、肌の綺麗さが羨ましかったです(笑)。

と言う訳で(?)、主人公の女性とあの高校生のように、ひとは自分の力で変われる!と思いたい!と言う幕切れ乍らもああああのふたりの仲はどうなっちゃうの、と言うもや〜んとした煩悩を存分に楽しめるお芝居でした。会社での呑み会のつまみがハッピーターンとか、そういうちょっとしたところも丁寧でよかった。