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2012年12月08日(土) ■ |
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『ボクのおばさん』『TOPDOG/UNDERDOG』 |
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自転キン演劇部『ボクのおばさん』@SPACE雑遊
瀧川さん曰く「平均年齢40代の部活動」。じてキン所属の役者さんが立ち上げた「演劇部」の旗揚げ公演です。
じてキンによるじてキンらしいお芝居って、他にありそうでないもので、裕美さんや飯島さんの外部(もはや外部とわざわざ言うのも違和感があるな)での活動でも観られないものだったりする。“じてキンの公演”が観たいなあと時折ふと思い、うずうずする。思えばじてキンって、劇団公演からプロデュース公演(自転車キンクリーツカンパニー)への移行も緩やかで、その後個人の活動がそれぞれ忙しくなっていき(それには役者の活動を休む、やめる、と言う要素も含まれるだろう)、気付けば何年も公演をうたなくなっていた。その変化があまりにも自然で、そこがまたこの集団らしいとも思っていた。
オリジナルのホンで、書き下ろし。自分よりちょっとお姉さん世代の彼女たちが直面するものごとは、これから自分が経験するであろうことでもある。そういう身近なテーマを、面白悲しく見せてくれる。今回の作・演出はサスペンデッズの早船聡さんで、彼の作品は初見でしたが、その“じてキンらしさ”がしっかり踏襲されたもので嬉しくなりました。チラシの言葉にミスリードされていた部分があり、こちらが勝手に予想していたストーリーが違う局面へと転がっていくことに「おお?おお?」と思いつつひきこまれる。途中「ガラスの動物園」と言う言葉が出てきてハッとする。あー、そうだ!しかしそれだけでは終わらない。そして見終わったあとチラシの言葉に戻ると、ああ成程、と腑に落ちる。うまいなこれ……熟練の仕事だ。書く側も、演じる側も。
台詞のテンポがすごくいい。登場人物同士の距離感を瞬時に把握させる、ときにはずかずかと踏み込み、ときには見えない壁を張るさりげない言葉の配置がすごく巧い。そしてそれを口にする役者陣がいい。そうそう、こういう日常会話がめちゃくちゃ絶妙なんだ、じてキンの役者さん。
歌川さんの人間力はますますパワーアップ。明るさも、その裏にある隠し続けてきた悲哀も、全てを抱えこむ生命力も。それらを表現するおばちゃん力が、人物そのものの魅力に繋がる。藤本さんもくたびれた大人が似合うようになり、それが役柄通りの「職人」としての姿を映し出す。とは言うものの、相変わらず美形であった。と言うか相変わらずかわいいですね…見掛けの歳はとらないわねこのひと…アンチエイジングの秘訣を教えてほしいわ!瀧川さんは昨年のびわ湖商業スワンボート部で初めて観たのですがツッコミが絶妙でした。赤ペン瀧川先生として有名?な彼ですが、じてキンとしては比較的新顔?ですよね。しかしプロフィールを調べてみると、過去『散歩する侵略者』にも出演してたりするのねー。松坂さんの蜂のように刺すズバリの物言い、格好よかった。シャツをインにする生活感も絶妙(笑)。そして岡田さんが最後に着てきたミッキーマウスのトレーナーがインパクトありすぎて、それが似合う岡田さんがまた素晴らしかったです…(笑)。客演のおふたりもよかった。
じてキンの役者さんは皆色気があるなあ。人間的な魅力に艶がある。
家族のしがらみ、それぞれの過去、旅立ち。だいたいにおいて男たちが情けなく、そんな彼らの尻を女たちがたたく。そして男が決意する。しかしそこでまた転んじゃったりする。最後はそれでも笑って終わる。観て良かったな、と毎回必ず思う安定感。活動、継続していってもらいたいです。
ちなみに朝の部に行きました。割安だと言う理由以前にこの日時しか行けなかったので選んだのだが、11時開演にも関わらず満席。そうねー歳とると朝早くても比較的平気になるよね、お互い歳とったねえとなんてニヤニヤしたりもした。こういうのって悪くない。午前中の新宿って、結構気持ちいいですぜ。
稽古場日記はこちら。あー、こういうテイストもじてキンだ。うれしい。
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SPACE雑遊やっと行けたー。広さ、天井の低さ、地下に降りていく雰囲気と地上とのギャップといい、かなり好みのハコ。池林房のすぐ近くです。
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『TOPDOG/UNDERDOG』@シアタートラム
男ふたり(兄弟)の会話劇。含みがある台詞が満載で、登場人物の行動やラストの解釈が分かれそうだなあ。それだけに後味ほろ苦く、シスカンパニーの年末公演って昨年の『その妹』でもしんみりしたなあなんて思い出したりしました。
台詞量がとにかく多く、それをスピードあるマシンガン口調で攻める。冒頭のスリーカードの台詞から引き込まれる。才能があるけれどその才能で生きていくことを躊躇っている兄、異分野に才能があるけれど兄の分野に憧れてやまない弟。まっとうな生き方って何だろう?
兄と弟の名前と、その由来が明かされる流れでストーリーの結末がある意味読める。実のところ自分はリンカーンを暗殺した犯人の名を知らなかったのですが、その説明がなくとも会話の流れでちゃんと予想がつくようになっています。日本ではそれ程周知でない(いや単に私が知らなかっただけですねハイ)とも言える情報も、こうやってシンプルな言葉で合点がいくように出来るのだなあと感心。
そして、その結末を予感し乍ら観客はその経緯を追っていきます。兄や弟の心情を探り乍ら。会話のなかに出てくる人物たち…兄弟の両親、兄の元妻、弟の恋人に思いを馳せ乍ら。信じる、と言う力の素晴らしさと恐ろしさをひしひしと感じ乍ら。
正攻法の演出と美術、役者の魅力が堪能出来ます。それにしても堤さんてアホの子をやるとホントにアホの子に見えるなあ…なんて小学生みたいな感想を持ちました。でも今回の弟は、そのアホっぷりに悲しい程の愚かさが滲み出ていてやるせなかったな。このアホの子め……。千葉さんは会話だけでなく独白(モノローグと言うよりホントのひとりごと)部分がこれまた見事でした。
シスの『人形の家』を観に行ったとき勘三郎さんが来ていたなあ、ニコニコしていたなあなんて思い出した。
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