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2012年10月20日(土) ■ |
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『日々の暮し方』 |
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アトリエ・ダンカン×デラシネラ『日々の暮し方』@あうるすぽっと
振付作品を観る度に気になる度が増していっていた小野寺修二さん。水と油のおのでらん時代からすると随分遅れてしまいましたが、ようやっとご自身の構成演出公演を観に行けました。小野寺さんご本人が出演され踊る姿を見たのは始めて。いやー格好よかった。
別役実のテキストから構成された『日々の暮し方』。失踪すると宣言していなくなった夫を探す妻。家での夫婦の会話、捜索相談に出掛けた警察での会話、妻の独白、夫の独白。言葉と行動が裏腹に、しかし並走し、夫と妻のさがしものを示していきます。
カンパニーデラシネラの常連さんらしき身体表現の面々と、それを傍観しあるいは衝突する言葉を扱う面々、言葉と行動の境界線に立ち、それぞれの起動やブーストを担う面々。役割は入れ替わり立ち替わり、しかし個々の特性を際立たせ、舞台はすすんでいく。
数作前からデラシネラに参加している中山祐一朗さんは、ハブ的な役割を担っていました。言語と行動、頭脳と肉体。所謂お芝居のパートとダンスパートの流れを仲介するような役割。力づくで引き戻すこともなく、台詞で場をさらおうともせず、いつのまにかストーリーの流れを呼び寄せていました。このひとどんな場にもするりと馴染むよな…佇まいを変化させているふうには見えないのに。言葉を音楽とするような、動作をダンスとするような不思議な力を持っている。そうそう、祐一朗さんツーブロックになってました。お似合いでした(笑)。
細身な南果歩さんはバレリーナのようでもあり、男性陣にリフトされるダンスシーンはとても美しかったなあ。そして南さんと藤田桃子さん、女優陣の声がいい。身体の器官から発せられる、生きた声。スピードを出さず、ゆったりとした筋力を必要とする動きで魅力を発していたのは川合ロンさん。この方のダンスには惹き付けられた!他の公演でも観てみたいなと思いました。しなやか、しかし硬質。
中山ダイスケさんの舞台仕事を久々に観られたのも嬉しかったです。『障子の国のティンカーベル』以来…てことは十年振り…てことは十年前にはまだベニサンピットってあったのか……(しみじみ)。思えばこれ、前日観た井上尊晶さんの演出作品でした。楽しい偶然。本棚がロッカーになり、アパートへと変化するシークエンスが鮮烈。小さな調度品、家具がかわいい。水槽に棲む亀の子たわしのかめもかわいい。そうそう、ダイスケさんのつくるものって、ガーリー要素があると言うか、女の子がきゃ、かわいい☆となる要素がさりげなく詰め込まれている感じがする。それはマーケティングがどうこう、ではなくてご本人の女性的な感性の顕れのようにも思います。そういえば、美術助手の中山工輔さんってご兄弟かご親戚かしら。ダイスケさんは大輔さんだし、同じdaicon inc.所属だし。
それにしてもあうるすぽっと、『4.48サイコシス』といい『おもいのまま』といい今回といい、音の印象が強烈なものばかり観ている。おかげで?この劇場に行くときってなんだかいつも緊張する…とんでもない目に遭うんだろうなあって(笑)。ホントいい音…と言うかおっかない音が鳴ります。今回の音もインパクトありました。音響は水谷雄治さん。他の仕事も聴いてみたいなあ、大人計画作品にも参加していたりするようですが…と、検索するとご本人のtwitterがヒットしたりして、いやそこ迄求めてませんからプライベートじゃなくてプロフィールと言うかお仕事一覧が見られればいいんですとビビったり(笑)。パンフにスタッフプロフィールなかったんだよね……。
PAだけでなく、ラストシーンの大量の紙を降らしたり投げたりしたときの音もすごくすごく印象的でした。雨音の音響から紙が鳴らす音へとシフトしていくのですが、紙のパラパラとかガサガサと言う音が重なると、雨音に聴こえるのです。夢のような音景でした。
スタッフプロフィールはなかったけれど、パンフレットは凝ったつくりで手にするのが楽しいボール紙仕様。拡大されたものが展示されてありました。ダイスケさんのドローイングも載ってて嬉しかったです。
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