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2012年06月16日(土) ■ |
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『南部高速道路』ポストパフォーマンストーク(6/14) |
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『南部高速道路』ポストパフォーマンストーク@シアタートラム
14日の上演後、ポストパフォーマンストークが行われました。出席者は長塚くん、赤堀さん、司会進行に大堀久美子さん。興味深い話が沢山聞けました。以下おぼえがき。記憶で起こしているのでそのままではありません。
大●今日は初のトリプルアンコールでしたね、観ていたこちらも嬉しくなりました 赤●今日のお客さんは優しかったんだ(と言いつつ嬉しそう。トリプルのとき最初に出てきた赤堀さんの困惑笑顔はよかったわー)
大●ワークショップ(以下WS)含め、どういう風に稽古を進めたのですか? 赤●もうねえ、演出家はどSで、我々はどMで。延々と…ストーリー上渋滞は解消する、と言うのは判っているんだけど、それがいつか、と言うことは設定しないで「何時間後」「何日後」「何ヶ月後」ってエチュードをずっと…… 長●(ニヤニヤ) 大●ええ〜…それはまた…… 長●去年の4月から何度かやって。エチュードでの反応を見ていって、僕がキャラクターの大枠を決めていきました 赤●いつ迄、どこ迄やるか判らないまま進んでいく。終わったときは新興宗教から脱会したときのような爽快さがありました。泣いちゃうひともいたり、それを見て俺も泣きそうになったり……気持ち悪いでしょ?(笑) 長●「じゃあ○時間巻き戻して」とか「今やったここからここ迄をもう一度再現して」とかもやったね。でもね、30〜40分くらいのものなら完璧に再現出来ちゃうんですよ。これって役者の生理と言うか、役者と言う生き物…の集中力……ですよね 赤●気持ち悪いでしょ? 大●(笑)
長●どこ迄細部を特定するか、も考えました。最初は東名…中央高速とか、具体的に決めていたんだよね 赤●そうするとどこかに嘘が出てくると言うか、それならここも考えておかなきゃ、何か訊かれたときに矛盾点が出るかも知れない、となって。やれることの可能性が狭まるので、その辺りは曖昧にしておこう、と 長●車をどう表現するかもいろいろ試したね 赤●車の形を、こうやって作ってもねえ(ジェスチャー。書き割り?)。最終的には傘になった。超リアリズムで生きてきた男なので、最初は恥ずかしかったですよ 長●THE SHAMPOO HAT(赤堀さんの劇団)はセットから徹底的に作り込むもんね。どれをどこ迄具象にするか、ってのは考えた 赤●食べ物とかね 長●客席も車のシートっぽくして。二人掛け、三人掛けって感じで色を変えて。お客さんも車に乗って渋滞にはまってるんだよって…でも、お客が入って座っちゃうとシートの色がどんどん見えなくなって、結局なんだか判らなくなっちゃうんですよね。あんまり効果がなかった(苦笑)
大●そうやってエチュードで作り上げたものを、ひとつの完結した作品として本番で上演し続けることに関しては。コンディション作りが難しそうですね 赤●勿論役の上で、ですけど、黒沢あすかに啖呵切られたり、安藤聖に半笑いで返されたりすると傷つくと言うか(笑)痛みを感じる自分がいる。その痛みをどう自分の中で解決していくかを考え乍ら、慣れないように。演劇は嘘ですし、お客さんも嘘だと解って観ているけど、そこには実際人間がいて、何かをしている…自身が投影されるのでキツい反面リアリティが出たんじゃないかと 長●そもそも渋滞が一年続くってことがもう嘘でしょう、って話ですしね。いつ渋滞が解消するか判らない中で、体力的にも精神的にも追い詰められる。そのリアリティを大切にしました 赤●起承転結もないような話ですし。いかに嘘を本当にするか、役者の力量ですね
大●観客に話し掛けることについては(観客を渋滞にいるひとに見立て、「大丈夫ですか?」「何か持ってませんか?」等と声を掛ける場面がある)。実際何かくれた方もいらっしゃったとか 長●今日は飴ちゃんくれたひとが…あれは何でした?(そのひとに話し掛ける)のど飴だったそうです。あちらの方も…すみませんねえ(笑)とりあえず、相手が反応する迄話し掛け続けると言うのは決めていました 赤●未來みたいに待ってたひともいたかもね(思い出し笑い) 長●あはは(笑)あの、森山未來が観に来て、彼は南ブロックの後ろの方にいたんですけど、「俺はバッグのなかに電池をふたつ持っている……!」「何故こっちに来てくれないんだ!」ってずっと思ってたんですって(全員笑)終わったあと楽屋で「なんで来てくれなかったんですか!」って言われて。まああんまりやるとノイズが増え過ぎる危険性もあったし、その場にいる皆に聴こえないと…あまり後ろのブロックだと声が行き渡らないだろうと判断したので。薬くれたひともいたよね(風邪をひいていた登場人物がいたので)、葛根湯 赤●もう効かないですけどね(全員笑) 大●葛根湯は初期段階用だから(笑) 赤●熱が出ちゃったらもう効かない
大●最後のシーン、赤堀さんが残ることについては。どうやって決めたのですか? 長●自然とそうなりました。稽古では全員しばらく歩き続けていて、それを見乍ら僕が「誰々さん抜けて、誰々さん抜けて」と声を掛けていっていろいろ試したんです。バスの運転手さんが残らないこともあった。でも、これ迄の流れでグロリアの彼女とバスの運転手さんの関係の変化を皆知っているから…やっぱり最後に残るのはバスだな、と
大●赤堀さんもご自分の劇団でも若いひとを集めてWSをやっていましたが、違い等はありましたか? 赤●自分のとこでやったときうまく行かなかった部分の対応が解ったりして。今後の参考になりました 大●赤堀さんの方に長塚さんが参加したり、ってのも今後あるかも知れない?どうですか? 赤●そうですねえ…でも高いんでしょ?(全員困惑笑) 長●そっ、そんなことない、そんなことないですよ(笑) 赤●え〜、そうかなあ、先輩〜 長●先輩って、そっちの方が…あ、でも、同期なんですよね。歳は違うけど阿佐ヶ谷スパイダースを立ち上げた年と、THE SHAMPOO HATの旗揚げって 赤●そうなんですよ。機会があれば是非、ね 大●赤堀さん、次の長塚さんの『浮標』にも参加されますしね 赤●ええ、俳優として(キリッ) 大●なにその口調(笑) 赤●いや、俳優だから 長●(笑)宜しくお願いします
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・赤堀さん、難しいわ〜(笑)
・赤堀さんがトーク中は長塚くんのことをずっと「演出家」と言っていたのが印象的。一回「長塚…」迄言いかけて「演出家」と言いなおしたくらい徹底していました
・そういえばそれでふと思いましたけど、登場人物は車種名で呼び合っても、バスのことはバスさんって言われてなかったような。基本バスの運転手さん、でしたね。バスさんって言いづらいからかな(笑)
・大堀さんの話の進め方がテンポよく面白かったー
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