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2012年01月14日(土) ■ |
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『寿歌』 |
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シス・カンパニー『寿歌』@新国立劇場 小劇場
1979年の初演から、さまざまなカンパニーで上演され続けてきた北村想さんの作品。ラストシーン、雪のなかリヤカーをひいていくふたりの舞台写真は何度となく目にしていました。パンフレットによると今回の上演は震災前から決まっていたとのこと。
核戦争後。あまった核ミサイルが花火のように飛び交うなか、ゲサクとキョウコはリヤカーをひいて旅を続けている。そこに突然ヤスオと言う人物が現れ、しばし同行することになる。ゲサクたちは芸で日々の糧を得ていると言うが、果たして行く先々に観客は存在するのか。そもそもゲサク≒戯作とキョウコ≒虚構は生きているのか。ヤスオ≒ヤソの「物品引き寄せの術」は5つのパンと2匹の魚を5000人に…のあれか。さまざまなキーワードを「ええかげん」に散りばめ、彼らはそれぞれの道へ歩んでいく。
関西弁に耳が追いつかずしばし難儀しましたが、その軽妙な言葉がテンポよくやりとりされるさまは気持ちよかったです。ボケとツッコミのやりとりがぽんぽん入れ替わる楽しさも。そんな「ええ加減」な会話から、「ええかげん」な人間の姿と、寄り添うだけで実際には何もしない神(と呼ばれる存在)の姿が浮かび上がる。それは希望か、寛容か。放射能の雪のなかにはほんものの、掌で融けていく雪も混じっている。キョウコは喜んで、天に手を掲げる。
じゅんさんは前髪おろすと色気が出るなー。姿形もあいまって、神(と呼ばれる存在)の暗喩であり乍らちいさくはかない存在のように見える。堤さん演じるゲサクは何かを背負っている暗さを見せ乍らあっけらかんとしたたたずまいで死を迎え復活する。ウサギの話や「あのボタンを押したのは」自分だと言う前後のトーンの切り替え、よかったなあ。キョウコの戸田さんは生と死を素直に受け入れ、それでもゲサクの側を離れないまっすぐさを羽根のような軽やかさで表現して印象に残りました。
そして『アット・ホーム・アット・ザ・ズー』でも思ったけど千葉さんの演出って選曲と音の入れ方が独特だなあ。
個人的には、あのラストシーンはもうちょっと天井高くて奥行きを活かせる劇場で観てみたかったかな。今度カトケンさんとこ(『寿歌』レパートリーでしたよね)が本多劇場でやるので、是非それも観にいきたいです。
よだん。プロジェクト・ナビって名古屋拠点だったけど何故関西弁なんだろう?と思っていたのですが、北村さんは滋賀県出身なんですね。今頃知った。
よだん2。「リオナ、私は美しい」てギャグにあまり反応がなかったのにガーンとなりました(笑)ええとですね、ひとむかし前にイオナと言う化粧品の「イオナ、私は美しい」と言うCMがありまして…(説明するのが虚しい)。
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