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2011年12月11日(日) ■ |
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『今年は2人でさとがえるツアー 〜Get Together〜』 |
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矢野顕子×上原ひろみ『今年は2人でさとがえるツアー 〜Get Together〜』@NHKホール
い〜や〜、今も呆然としていて何から書いていいのやらと言う感じなのですが……。休憩ありの二部構成、客電がつき終了のアナウンスが流れてもダブルアンコールの歓声と拍手がやまず、終わってみれば2時間50分の長さしかも内容もちょう濃密!一音たりとも聴き逃せない程なので、聴いてるだけのこちらもへとへとになりました。てかやのさんがあんなにぐったりなってるのも初めて見たよ。集中力もだけど体力も要るわ。てか集中力を維持するための体力が要るのだわ。そういう意味では、上原さんが歳をとったらどんなピアノを弾くようになるのかな、それを今後聴いていけるのも楽しみだなあなんて思いました。
ふたりの公式での初録音かな、『はじめてのやのあきこ』収録「そこのアイロンに告ぐ」でスタート(わーい)。矢野さんと上原さんの音を聴き分けづらくあたふた(自分が)。上原さんのピアノは音数が多い+タッチが強いので、矢野さんの音、ど、どれ!?てなくらいでした。ヴォーカルも埋もれ気味。鏡がプレイヤーの頭上一枚ずつと中央の計三枚つられており、それぞれのパッセージが見られるような配慮(美術としても絶妙!)があったので、それをたよりにしばらく矢野さんの音を探す。CDで聴き慣れてる曲ですらこうなのか…こ、これからどうする(笑)序盤はそれで精一杯でした。
そういえば休憩時間、上原さんのピアノだけ調律師さんが入ってた。プリペアドな演奏もしていたし、やっぱりタッチが強いから、一時間ちょっと弾くくらいでもチューニングが動くのかな。
PAの調整もあったのかこちらに慣れが出てきたか、だんだん区別がつくようになってくると、お互いの癖と言うか得意のコード運び、リフ、リズム感等が聴きとれるようになってくる。これは面白かった!上原さんの演奏を生で聴くのは初めてで作品も網羅していないのですが、矢野さんのこれ!と言う節回しやフレーズはピピン!と来ます。思えばもう30年近くも聴いているものね……。基本的には矢野さんは軽やかなパッセージと間(ブレーキ、つんのめりも含めた)を使った独特なリズムがキモで、今回はその間を上原さんのフレーズで埋め尽くしていく感じ。上原さんのコード感は常に動いていて、和音でと言うより連符で移行する印象。で、その移動中にスタンダードなジャズナンバーのフレーズもどんどん織り込んでいく。このコードはあの曲と同じだな、あのフレーズ入れられる、入れちゃおう!的なコード別の引き出しをすんごい沢山持ってそうな感じ。一曲聴いてても三〜四曲、いやもっと?くらいの要素が入っている感じでした。
『Get Together -LIVE IN TOKYO-』からの曲をメインに、各々のソロコーナーもあり。『Get Together』は9月に行われたライヴレコーディングですが、そこからもまたアレンジ等が変わっていました。やはり曲はいきものだ…特にこのふたりにかかると……。どの曲もすごかったんだが、既存の曲で大好きな「CHILDREN IN THE SUMMER」のリアレンジが見事でどーどー泣いた。『Get Together』で聴いてはいたのだが、これはたまらなかった……。もともとは『LOVE IS HERE』収録の曲で、ホーンアレンジが素晴らしいんです。それが二台のピアノと唄で、こういうふうに生まれ変わるのかと!過ぎ行く夏を追いかけて泣くこどもの唄を真冬に聴けた、と言う不思議な感覚も含め、個人的にはここがハイライト。この辺りになってくるともう涙腺がバカになっており、顔がかぴかぴでしたよ。ソロコーナーの矢野さん「しあわせなバカタレ」、上原さん「Cape Cod Chips」も視界がぼやけっぱなしで、ヴィジュアルの記憶があまりない(笑)。
いやそれにしても「しあわせなバカタレ」は激烈だった…絶対やるだろう、落ち着いて聴こう!と覚悟していたのに、震えてしまって歯が鳴りましたマジで。鳥肌もたちっぱなしで、え、これ悪寒じゃないよね、今風邪ひく訳には…と思った程でしたよ。コンサートが終わったら収まったのでやはり悪寒ではなかったよ……。
曲間はおふたりともハアハア言ってるような印象で、汗を拭いたりドリンク飲んだり。「ちょっと休ませて…」「私はナマケモノだから」なんて矢野さん仰ってたけど、いやいやこれホントハードですよ、ナマケモノとかよく言うよ!しかしこれはずっとは続けられないよなあとも思いました、マジで身体がもたないよ。アンコールで出てきた矢野さんが「裏でやのが倒れて、ひろみちゃんに『しっかりして!』なんて言われてると思ったんじゃない?」と言ってドッとウケたけどシャレにならん!またおふたりのコラボがあることを楽しみにしていますが、すぐに、でなくてもいい。そんな贅沢言えない!そして今回のツアー、無事に終えられますように。本編終了時にガッツポーズをし、腕を高くあげたおふたりは達成感に溢れた表情をしておりました。
ダブルアンコールに応えて、最後に演奏されたのは矢野さんの歌(スタンドマイク)、上原さんのピアノの「Green Tea Farm」。ピアノバトルな側面が確かに強いライヴでしたが、歌+ピアノだった矢野さんが歌に専念し、各々のエッセンスをぎゅっと詰め込んだようなこの曲を最後に聴けてやっとホッとした感じでした。矢野さんが歌だけ、ってのは本編でも一曲あったけど、このときはまだ緊迫感に満ちていたのでな……。
全てが終わり、興奮冷めやらぬホールに静かに流れ出したのはyanokamiのナンバー。ハラカミくんの最後の仕事、『遠くは近い』がもうすぐ聴けます。
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