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2010年11月02日(火) ■ |
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『ファントム』 |
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『ファントム』@赤坂ACTシアター
再演。いろいろ気になるところはあれど、曲もストーリーも好きなんだよなあ。
まず不可解に思ったのは劇場の構造。比較的縦長のプロセニアムの青山劇場と、横長のACTシアターでは、セットの印象がかなり違いました。初演の青山劇場と全く同じセットを望むのもお門違いだけど、劇場が変わるにあたって変更したであろう装置が…「ああーあれが出来なかったんだなあ、こうするしかなかったんだなあ」と見えてしまう……。ステージに奥行きがないんだろうか、劇中劇のオペラで使う大階段が正面に置けず斜めに配置。役者がハケる動線がないのか、白い幕を張って退場させたりしている(これ、せめて黒い幕にした方がいいんじゃないのか…)。ファントムとクリスティーンが地下を散歩する時や、終盤フライングの時に使っていた高台のセットもあるにはあるが、殆ど機能していない(フライングは舞台袖に作ったテラスのセットからになっていた)。この高台のセットすごく綺麗だったのにな……。
で、狭いのか何なのか、転換がすごくせわしないんですよね…セットの柱がぶつかったり(すごい音がした…)してすごいヒヤヒヤした。事故等起こりませんように……。あとこの劇場、杮落とし『トゥーランドット』の時もそうだったけど、オケの音が大き過ぎて歌が聴こえづらい。これはPAで解決出来ないものですかね……。
はーぶっちゃけた。ごめん!でも初日だから!初日だから!改善されていくかもしれないから!
えー初舞台の杏ちゃんは初日と言うこともありとても緊張していた様子。大沢さんの歌は初演と印象変わらず。やはり芝居と華で魅せる。ホントこの作品、曲がすごい難しいので苦労も多いと思われます。がんばれー。
芝居の面で安心して観ていられたのは、篠井さん、石橋さん、まことさんのパート。ホントここはヒヤヒヤすることなく、と言うかヒヤヒヤするなんてことすら意識させないコンビネーション。ミュージカルなので歌が大事なのは勿論ですが、こうやって芝居でビシッと締めてくれるひとたちがいるとよりストーリーに深みが出ます。樹里さんは歌も芝居も達者。宝塚ではキャリエールを演じられた方だそう、観てみたかった!オペラ調の歌も見事でしたし、ファントムに「聴くに堪えない」と言われてしまう部分も巧いからこそ出来るはすっぱな唄い方で表現、すごい。
それにしても篠井さんが本当によかった……キャリエールとエリック=ファントムとの関係を暗示させるやりとりは序盤から緊張感を切らすことがない。ストーリーの流れを遮ることなく、オペラ座の元支配人として、父親としてエリックを守ろうとする責任感と愛情、劇場と息子を自由にしてやりたいと葛藤する心の揺れをじわじわと見せていく。そしてそれらを、謎が明かされる終盤のデュエットに一気に集約させる。流石としか言いようがない。しかも歌が素晴らしかった!声域的にも大沢さんと合っているのかも、劇中いちばん感動するデュエット。思えば男役で男声で唄う篠井さんって初めて聴いたんじゃないか…初演のヨタロウさんもよかったし、複雑で魅力的な役を魅力的な演者で観られたことに感謝するよーううう。
演出や上演台本にもちょこちょこ変更がありました。アランが「俺は芸術のことはよく判らないし金儲けの手段にしただけだが、それでもカルロッタの歌を聴くことは何より楽しみだったし幸せだったんだ」と語るシーン、初演ではあったっけ?あったとしてももっとシンプルだったと思う。このパートよかったなあ、下品だと言われても懸命に働き金を稼ぎ、愛する妻のために劇場を用意したアランの心情が表現されていて、美しい者以外は排除すると言うファントムの狂気も浮き彫りになった。ベラドーヴァと息子が出てくる演出もなくなっていました。あと二幕目前の5分休憩は、転換等でどうしても必要だったのかな?
中日以降にもう一度観に行きたい気もするが、結構なチケット代なので考え中。
よだん: 小澤征爾さんがいらしてました。同じ日にウィーンフィルの名誉団員の称号を授与されてましたね。来月復帰の予定、お元気でいてください。
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