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2010年03月21日(日) ■ |
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『ジョン・ルーリー展 ドローイング You Are Here』 |
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『ジョン・ルーリー展 ドローイング You Are Here』@ワタリウム美術館
『お前、俺のこと元気だと思ってるだろう? 2、3年前は本当に死にそうで、今でもたまに意識が空中をフワフワ浮いてしまうんだ。』
彼が大病を患い、音楽活動も俳優の活動も休止したと知ったのは数年前、ジャームッシュの『コーヒー&シガレッツ』が公開された頃だった。もう彼の新しいサックスは聴けない、彼の現在の姿をスクリーンで観ることは出来ない。
不穏な世界がハッとする程鮮烈な色彩で描かれている。タイトルや、絵の中に書き込まれているテキストは、愚痴のようなつぶやきであったり、神さまへの質問だったり、情景描写だったり。基本英語だが、ハングルやアラビア語のような文字も使われている。多分こちらには意味はなく、形が面白いから描いたんじゃないかな(笑)。そういう茶目っ気は今でも健在。罵倒の言葉にクスリとしたり、彼の境遇を連想して悲しくなったりと、観ている間自分の中もせわしなかった。深刻な表情で観ているひとも、親子づれも結構いて(DNA、ラウンジリザーズに熱狂した世代が親になったのかな)、おかあさんがこどもに絵の中のテキストをちいさい声で読んであげていたり、「この絵どう思う?」「へん!」「これは?」「おもしろい」なんて会話している父子もいた。不気味だけどかわいい、とても綺麗な色彩、独特なモチーフ選択とそれに対するニヒルな眼差し。手法は違えど、知っているジョン・ルーリーがいたような気がした。
ワタリウムの白い壁面の一部がペインティングされている。2〜3Fの吹き抜けは「Lurie-blue」、4Fは「WASABI」と色に名前が付いており、フィニッシュペイントを担当したひとの名前もクレジットされていた。毎日決まった時間に会場からジョンにメッセージを送り、webを通して彼がそれに応じると言うイヴェントも行われているようだった。あまり遠出が出来ないのだろうな。しかし、彼の描く絵はこれからも増え続けるし、その作品はこうやって日本迄やって来て、実物を観ることが出来る。
サさんが100セット限定の特装カタログを購入。結構なお値段だけど確かにボッてない、魅力的な内容。しかしおらには手が出なかったーいいなー。オーナーさん(?ナイスキャラ)とサさんの話を便乗して聞かせてもらう。「ハングルとか描いてますよね」「あれはー、意味はないと思いますね!」(ははは、やっぱりそうか!と言うか、皆からそう思われてるジョンって…)「元気ですよ。相変わらず。会場でのメッセージのやりとりも、まず『今日、かわいいコは来てるか?』ですもん。『俺にとってそれは重要なことなんだ!』って。かわいいコには丁寧に応えてあげてるの(笑)」(うひーイメージ変わらん!最高!)「各作品のタイトル翻訳を最初は自分たちでやっていたんですが、どうもしっくりこなくて、ある詩人の方に依頼したんです。そしたらとてもいいふうな訳になって…意訳も多いけど、ジョンの世界と合っていると思った。頼んでみてよかった」(詩人の方って誰だろう?)
限定カタログは買えなかったけど、ワタリウムはパスポート制なので、会期中何度でも行くことが出来る。あの色をまた目に映したいな。
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