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2008年07月30日(水) ■ |
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『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0』 |
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『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0』@新宿ミラノ1
いやあ、劇場で観るの初めてですよ…嬉しい。今回のヴァージョンアップは、監督曰く「劇場公開時映画館で観ていないひとが多い。もう一度劇場作品としてこの映画を生まれ変わらせたい」との狙いがあったようです。新作カット追加、色味の変更、音響のリニューアル(台詞の新録、音楽・SEの再構築、6.1ch化)。「前作とは別作品と捉えている」そうです。とは言え、比べてしまうのが性。
イントロと潜水シーンの草薙、空撮カット、エンディングの街並辺りがまるっと3D・CG化。街並の方はすっごくよかった。拡がりといい光源の強さといい、デカいスクリーンで観れてよかったー。しかしイントロの草薙のカットは…特に、光学迷彩をまとった草薙が笑みを浮かべ乍ら消えるあの有名なシーン。あのカットに衝撃を受けまくった者としては、すっごいショックで。もう全然違う、悪い意味で(泣)あまりにも「があーん、こういう風に変更するか!」と呆然としてしまい、その後のオープニングシークエンス(草薙の義体が組み立てられていくシーン)はあまり憶えていない……。いや、光学迷彩をよりリアルに表現した場合、こういう見た目になるのかも知れないけど、でも……。草薙のあのニヤリとした表情も殆ど見えなくなっていて残念。その後のカットとの繋がりにも違和感がある。背景等はうまく馴染むけど、キャラクターの3D・CG化は、既存のカットとバランスがとれていない感じがしました。
それは色調にも言えて。暖色系になり『イノセンス』との繋がりを意識したようですが、これもちぐはぐ。そりゃそうだ、前のヴァージョンの色調が残っている部分もあるのだから。
台詞は新録だけでなく、声優さんの変更もありました。人形使いが家弓家正さんから榊原和子さんに。あとゴミ収集車のおっちゃんも変わってたかな。人形使いが男性から女性の声に変わっていたのはまあ…これはこれで面白かったのですが……口調も女言葉になっていたのにはううーん。見た目=ボディが女性なのに、そこから発する声、言葉遣いから性別の判断がつきかねるってところが、人形使いの得体の知れなさ、不気味さを出していたと思うので。人形使い、草薙、バトーの三角関係と言う図式も曖昧になったように感じた。
今迄見たことのないものを見た衝撃、なおかつ映像としての美しさ、強さを、最初のヴァージョンがどれだけ持っていたか逆に気付かされる結果になりました。3D・CG化って、よりリアルな画を追求するにはいいんだろうけど、この作品にそれはさほど重要ではなかったということなんだろうか。前述の光学迷彩のシーンは、前よりリアルになっている筈なのに、映像としての魅力があまり感じられなかったのです。
と言う訳で、2.0と言うならいっそのこと全てのカットを3D・CG化してみればいいんじゃないと思いました。そしたらまた違う印象を持つかも知れない。今回のは…うーん……1.2、くらいじゃないかなと………。
と、エラいブツブツ言ってますがスクリーンで観られたのはホント嬉しいんですよー!音響も映画館で観てこそだったし。音はホントすごかった。銃のSEの迫力なんて、もういちいちビクビクして聴いてた。古いミラノ座ですらこうだったので、最新鋭の音響施設で聴いたらもっとすごいんだろう。そしてこうなると最初のヴァージョンも劇場で観たくなります。併映してくれないかな。とりあえず『2.0』はミラノ座以外の劇場でも観てみたい…そして当然『イノセンス』ももう一度スクリーンで観たくなる。タイミングを合わせてリバイバル公開中なのでなんとか行きたいなあ。
ストーリーに関して全然書いてないけど、それは最初のヴァージョン観た時に散々考えたので今更書く気にならん……。やっぱりよりどころになるのって記憶だなーうううーとかそういうあれですよ(笑)ゴミ収集のおっちゃんのエピソードは何度観ても狼狽する、狼狽した自分にまたおろおろする。あのシーンがいちばん悲しい。
それにしても劇場公開は13年前。「ネットは広大だわ……」、この台詞は現在ますますリアル、すごい。
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