I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
MAIL
HOME
|
|
2007年12月23日(日) ■ |
|
『ビューティ・クイーン・オブ・リナーン』とか |
|
『ビューティ・クイーン・オブ・リナーン』@PARCO劇場
いやー濃かった、流石のマーティン・マクドナー。最後はアイルランドという土地と歴史のあまりの重みが胃にキます。ひたすら笑いが黒い。一幕は笑いの連続です。特に男性客のどよめき笑いが多かった(笑・ひえーとかおわーとかの声も混じる)。大竹さんと白石さんで、マクドナーで、長塚演出つったらある程度は予想しますよね。どんだけの女優対決になるか、どんだけの女の業が描かれるか。そりゃもうおっとろしー!って方向に持って行くことも出来る訳です。
それをある種軽妙とも言えるリズムで見せたのは見事でした。悲惨で必死で争えば争う程笑けてきます。そういう見せ方に持って行った長塚くんの演出も巧いと思ったし、笑いとして見せる女優ふたりがもう、このふたりならではと言う。
そしてその黒い笑いがあるからこそ最後がクる。以下ネタバレしてます、未見の方はご注意を。
その軽妙さは、長塚くん言うところの「利己的なるものの圧倒的生命力」。そしてそれは、意味をなさないことだと突っ返される。モーリーンは、自分が殴り殺した母親のようにロッキングチェアーに座ったまま年老いて行く。彼女を殴り殺してでも家を出て行こうとする生命力に溢れる存在は、ない。そういう意味では、連鎖を断ち切ったとも言えるのだが。閉塞感だけが残る。それだけに、誰も座っていないロッキングチェアーがぴたりと止まって暗転、と言うラストシーンには滅入った。アイルランドは不毛の地と言い切っているようではないか。
脚本の構造は重層的で思わせぶり。パトが手紙を書くシーンはとても誠実なものに思え(田中さんよかった!)、そして孤独がひしひしと伝わるものだったので、彼の言葉を信じたいのはやまやまだが、モーリーンが駅でパトに会えたと言ったことが嘘=思い込みであったことが露呈した時、これ迄の何が真実で何がでそうでないのかが判らなくなってくる。いや、事実はひとつなんだろう。パトが出来なかったのは酒のせい、パトはタクシーで出て行き、モーリーンは彼に会えなかった。モーリーンはマグを殺し、それは事故として片付けられた。
しかしマクドナーの書くものには裏の裏、背景迄考えさせられてしまう。マグとモーリーンのことに限らない。イングランドへ出稼ぎに行くアイルランド人、故郷を後にするアイルランド人、アメリカが憧れのアイルランド人。宗教的な側面も大きい。
あーちょっとまとまらないなあ、あとはおぼえがきで。
・アホの子レイがモーリーンに引導を渡す役割でもあるんだけど、そもそもおまえがちゃんと直接手紙を渡していればって話ですよ。このアホが…そんなおまえがモーリーンにとどめをさすようなことを!悪気もなくな。こういう子はなあ、マンチェスターに行ってアシッド食って白目になるけどなんとか死なない子だよ(泣) ・しかしまあ渡せたとしても結果は同じかな ・降板した黒田くんに代わって急遽出演となった長塚くんは、まあ、かわいかったです(笑)アホで。ハタチに見えないとかそういうのはご愛嬌だ!心眼で観るし! ・ポーグス、チーフタンズ、デリア・マーフィー ・ここでまた菊地さんの話を思い出したり。「アメリカってやっぱすげえ、でけえ、って散々聞いて、憧れの想像が膨らんで、こんだけ膨らんでんだから実際見たらショボいかもなと思って行ったらやっぱりホントにデカかった、と思わせられるだけの巨大さ」「皆アメリカ大好き!」 ・スズカツさんも「アメリカがいかにアメリカ以外の国の人々の生活の中に入り込んでいるか」って話してたよな。デカすぎる ・母と娘って〜、母と娘って〜 ・父親不在だったもんなあ。いつからいなくなったかすら語られなかった ・それにしても25歳でこれを書くか…マクドナーおとろしー!タメですよ!ヒー! ・しかしプログラムに載っていたマクドナーは…10歳くらい上に見えた(笑)
****************
・ブンブンの特番 地上波で100分、ひえー。かんがいぶかいー昔の映像も沢山流れたし。しかし後半はセルDVDのライヴ映像流しっぱで、まるで作るの飽きたみたいな構成(笑)どういう…! コネクトの中野くんのコメントがあーこういうせめぎあいの中でずーっとやってるひとだけにーて感じでした。ずっとこうだったし、これからもそうなんでないかね…コウモリと言うと聞こえが悪いがカモノハシとかそういうの
|
|