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2006年12月23日(土)
ヴィオラ展2回目+『至高の華』

『ビル・ヴィオラ:はつゆめ』@森美術館

わかってはいたがすごいひとだった六本木…持ち時間1時間半でリピートです。『ミレニアムの5天使』をまずガッツリ観る。とりあえず全部のパターンを観れた、よかった。後は戻って『ラフト/漂流』『オブザーヴァンス/見つめる』『クロッシング』辺りをリピート。『ストッピング・マインド』にちょっとしたハプニングがあるらしいんだけど、2回観ても解らなかったな。うーん何だろう、この作品は1周が時間に換算出来ないからな…この日も前回とは全く違うシークエンスだったし。全パターン観られる方法はあるんだろうか。

会期中あと1回は来よう。今度は夜に。なるべくひとが少ない時間帯に。

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『至高の華』@宝生能楽堂

狂言『狸腹鼓』、能『鵺』。

狂言のたぬきものは初めて観ました。か、かわいい……!たぬきが尼に化けて猟師に狩りはいかんよと言うんですが、いぬの声にビックリしてキャー!とかなったもんだからたぬきってバレちゃって、いやー助けてー!そんじゃ腹鼓を打ったら助けてやるぞう、はい打ちます打ちます!とお腹叩いて転がったり踊ったりするうちに猟師は愉快になってはははははってなって、その隙にたぬきが逃げる話です。きゃーかわいいー。

猟師は石田幸雄さん、たぬきは萬斎さん。きぐるみに狸面、序盤はその上に尼装、動きも激しいので、体力的にかなり大変な演目だと思います。でもかわいい。結局はそこか。たぬきの動きがかわいいよ。尼の時もちょっとどうぶつっけが出ちゃう時があってそれがまた笑いを誘います。

今回は『加賀狸』演出で、菊柴垣付きの一畳台が設置され、その茂みにたぬきが隠れたりしてました。かわいい。

さて『鵺』。世阿弥の曲。先月観た現代能楽集III『鵺/NUE』の原曲です。『平家物語』に書かれている、源頼政が退治した「頭は猿、尾は蛇、足手は虎で鳴き声が鵺」の怪物のその後の話です。鵺の亡魂は、旅の僧に身の上を語り、弔ってほしいと言う。

鵺は亡魂と本体として、装束を変えて二度登場します。うーんやっぱり後味が悪い…。鵺が成仏したか判らないんですよね。成仏と言うか、その魂が救われたか。多分、救われてない。厳しいな。

『鵺/NUE』には「上演されなくなった戯曲の言葉たちはどこへ行くのか」と言うテーマがありました。語られなくなった台詞。思い出すひとはいつかいなくなる。誰も思い出さなくなった時、その言葉はどこへ行くのか。

8人の地謡がすっごい迫力で格好よかった。空気がビリビリです。ぎゃーん鵺絶対成仏してない!妄執、無念、助けてくれ、助けてくれ。ちょうおっかない…でもすごかったな。

狂言の方にも出ていた大鼓のひとがひとり若手と言う感じで目立っていたのですが、見掛けだけでなく演奏も妙に気迫があった。後で若手注目株の方だと教えてもらった。