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2006年09月15日(金) ■ |
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『ユナイテッド93』 |
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『ユナイテッド93』@新宿武蔵野館3
入場待ちの観客の表情がどことなく硬い。前の回が終わって出てくるひとたちは、皆ぐったりした顔だ。整理番号順に呼び出され館内に入ると、小さめで細長いレイアウトの武蔵野館3が機内そのもののように思えた。席数は84。入りは8割程。これから2時間弱、ユナイテッド93便の機内で起こったことを、フィクションであれ(実際に何が起こったかは誰にも判らない)追体験することになる。隣席には知らないひと。自分は、その状況にいて、何か出来ただろうか?
不謹慎かも知れませんが、すごくよく出来ている映画だと思いました。
観客と言うのは観ることしか出来ない。受け身。視点を選べない。ただ、このユナイテッド93便がどうなるかは知っている。この映画は、この状況、このタイミングにこのシーン、と、観客が観たいと思うシーンを次々とテンポよく提示してくる。乗り込む人々をどうしようもない気分で見送り、ハイジャック犯が繋がってもいない携帯に「愛してるよ」と呟くのを見て絶望的な気分になる。ちょっと我に返ったが、この演出の介入にいやらしさは感じなかった。出発する前の乗客たちが、携帯で「I Love You.」とごく自然に言っているのを見たハイジャック犯が、ちょっとした興味で口にしてみた、と言う風に見えたからだ。あの言葉には、あまり真実味が感じられなかった。このリーダー格の犯人は、93便を操縦する時、操縦桿にモスクの写真を貼り、祈りの言葉を呟いていた。
飛び立ってからは、管制塔は何をしている?状況は把握されている?他の飛行機はどこを飛んでいる?それは外部にどれくらい伝わっている?と次々と気になることが出てくる。画面は、それらを丁寧に、バランスよく映し出していく。
管制センターは混乱を極める。TVのニュースがいちばん情報が早い。上空には4000機(!)もの飛行機が飛んでいる。どの飛行機がハイジャックされているか判らない。空軍は司令待ち。
再現ドキュメンタリーの手法で撮っている。エンドロールの「as himself」の多さには驚いた。そして、ハイジャック犯4人を演じた役者たちは、相当の勇気を持ってこの仕事に臨み、公開後はある種の恐怖感を持って日々過ごしているのではないだろうかと思った。それが役者という仕事だとしても、恐ろしいことだ。実際、ワールドプレミアにこの役者(たち?だろうか。全員か、この中の何人かは不明)は出席出来なかったそうだ。
カメラの手ブレがすごいです。酔った。でも、画面の揺れだけが酔いの原因ではないだろう。終わった時には頭痛と胃痛でふらふらだった。
でも、観てよかったと思う。武蔵野館3で観れたのもよかった。
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■そういえば 『ユナイテッド93』の前に『CLICK(邦題なんだっけ…もしも昨日が選べたらだっけ…)』の予告編を観たんですが、これのアダム・サンドラーがどうにもトレント・レズナーに見えてですね…。髪型とか肩の感じとかがね……
■そのレズナーさん ひっそり更新してましてん ----- [09_04_2006] If you have the opportunity, I highly suggest watching Spike Lee's documentary "When the Levees Broke: A Requiem in Four Acts" currently playing on HBO. It's a very well done look at what happened and is happening now in New Orleans.
12:14pm_PST ----- ベネチア映画祭に出品されてたやつですね。スパイク・リーは最近精力的に撮ってるなあ。4時間超の作品だそうで、日本で公開されるかは怪しいな…。 ベネチアと言えば『蟲師』が出品されていたので、おーもりくん行かれてたそうで。盛装でいらっしゃいましたわ
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