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2005年05月15日(日)
『五月大歌舞伎』

『五月大歌舞伎』@歌舞伎座

十八代目中村勘三郎襲名披露公演、夜の部。うー昼の部も観たいんですがー!

流石襲名披露公演だけあって、いつにも増して華やかな歌舞伎座でした。お客もおめかしに気合い入ってます。ロビーも売店もなんだか浮かれ気味。この日はフジテレビのアナウンサーが沢山来ていました。で、私は見られなかったけど志村けんが来てたって!志村!後ろ後ろ!わー見たかったー!(何を見に来たんだ)

演目は『義経千本桜 川連法眼館の場』『鷺娘』『野田版 研辰の討たれ』。

『義経千本桜 川連法眼館の場』は以前浅草歌舞伎で観たことがあるのですが、今回は音羽屋の型。忠信狐は菊五郎さん。こちらの型はそんなにアクロバティックな仕掛けはなく、宙を飛んだりはしないのですが、それでも菊五郎さんの躍動感溢れる狐にはビックリ。え、ええとこの方何歳でしたっけ?鼓にじゃれる姿とか激かわいいのなー!菊之助くんの静御前もかわいかった。

『鷺娘』は玉三郎さん美しい!妖艶!ホントに妖精みたーい!て言うか紅天女は玉三郎さんがやればいい!…と何を言ってもアホなコの感想にしかなりません。言葉もなくなりますよ…。『義経千本桜』では客電も殆ど落とさず、桜も咲いてぽかぽかした雰囲気でしたが、こちらは照明がかなり暗め、雪も降ります。あっと言う間に気温が落ちた(気がした)。衣裳替えも見事。ふたりの後見さんがつくんですが、その動きすら計算され尽くしている感じです。待ちの時に、客席に背を向けて目立たないようにするところも格好いいなあ。

『野田版 研辰の討たれ』は初演では(確か)なかったサブ花道が。レギュラーネタやアンガールズネタ、波多陽区ネタも次々と繰り出され大笑いです。獅堂さんは結婚ネタでいじられていた(笑)。あと喜多さん!喜多さんが出たよ!歌舞伎座で観られるとは思わなかったー!

初演の時にも思いましたが、歌舞伎ってホントに猥雑で、節操がなくて、だからこそずっとパワーを持ち続けることが出来るんだろうなあ。確かに伝統としての格式は大事なものだけど、それを守りつつ、常に何かを仕掛けてやろうと言う革新的なギラギラした目線、それに即対応出来るフットワークの軽さ。それは勘三郎さんの姿そのもののような気もします。

なーんて考えつつ、あまりにも回り舞台がぐるぐるまわるのでドリフっぽい…と思ったり。いやドリフの舞台は回らないけど、舞台転換のスピードがね!で、志村けんは何を思って観ているだろうなんて思った(笑)

仇討ちの話ですが、陰惨さはありません。でも、空しさはある。ああ迄して命乞いをするひとを殺しちゃうのは後味悪いもんですが、そもそも何で辰次はあんなに死にたくなかったのかなあ…と思ったり。何が何でも生き残ってやらねばならない!と言う目的がある訳ではない。死への恐怖かも知れないけど、それ程複雑なもんでもなさそうだ。ただただ、死にたくない。でもそれって、正直なことかも知れないな。

ひとがひとり死ぬってのは、大変なことだ。だからこそ、あんなに軽薄でお調子者で、誰からも愛されなかった(女たちは彼の偽りの肩書きに寄ってきただけだ)辰次の遺骸の上にはらりと落ちる紅葉は美しく、ジーンと来るものなんだろうな。

あーそう言えば、春冬秋といろんな季節が観られたってのも華やかでよかったな。四季折々の情緒を味わえる日本ってのはいいもんですなあ。