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2004年12月23日(木) ■ |
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NYLON 100°C 27th SESSION『消失』 |
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NYLON100°C 27th SESSION『消失』@紀伊國屋ホール
ゆっくり考えようと思っていたけど、東京公演はもうすぐ終わってしまうので勢い書きです。気になってるひとは当日券を狙って観に行って!是非!ああ私もリピートしたかったよ!
いい脚本、いい演出、いい役者。出演者全員にきっちり見せ場があって、それは力量を必要とする見せ場なんだけど、役者さんが皆素晴らしいので素晴らしいシーンになる。これって意外と実現するのは難しいことだ。観る方は集中力をフルに使う。下手すると引きずり込まれる。集中すればする程悲しく、やり切れなくなるストーリー。それでも好きになってしまう。ひとは必ず死ぬ。消える。物理的にはそうだけど。残るものは何なのか?以下ネタバレしてます。
室内。戦争。弟の記憶から消えるひとたち。見捨てられた第二の月の住人。
兄弟は両親を失う。兄チャズは弟スタンリーを失う。弟(27号)は記憶を失う。ドーネンは息子を失っている。スワンレイクは恋人になったであろうスタンリーの記憶から存在を消される。ネハムキンは夫を失う。リントは仕事と地位を失う。
そして、3人が死ぬ。残った3人は室内にいる。でも残った3人も確実に何かを失くしている。そして新しい年が来る。
為す術がない感。閉塞感。終末感。無力感。それでも年が明ける。年が明けた時、あの部屋はもうないかもしれない。あの国もないかも知れない。世界がなくなっていてもおかしくない。それでも時間は経つ。時は止まらない。
27号ってことは、あの弟のような存在があと26人もいるってことだ。それってすごく悲しいことだ。でも、必要としているひとがいるってことだ。物理的に存在していてほしいんだ。
とか言って、27号って型番だったりして(笑)27だったよな…自分の記憶も消失しつつあります。情けな。
ケラさんてホントすごいよね…毎度のことだけどこの上演本数、それでいて全ての作品のクオリティが高い。
ラストシーンの演出が本当に怖かった!と言うか、悲しくなった。いずれはやがて消えてなくなる。それでも?この日私が観た舞台は、物理的にはもうどこにもない。それでも。
あのラストシーン。…怖い、と言うだけではない感じがして、ちょっと考えた。そうだ、あそこにいずれは自分も行くんだ。あの3人の影。気の遠くなるような時間ではない、そんなに先のことではない。いずれは自分もそちら側に行く。郷愁のようなものだろうか。行ったこともない癖にな。まあ行くのには間違いないけど。
最後の台詞「鳥が鳴いた」。そう、あの鳥もいつか消えてなくなるけど、それでも鳴くんだ。それは絶望の声か、希望の声か。劇中で効果的に使われていた曲はTURTLES「HAPPY TOGETHER」。皮肉なのか、優しさなのか。
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