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2002年12月21日(土) ■ |
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『東京のSF』『URBANLENZ』 |
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NYLON100°C『東京のSF』@シアターアプル
前日観た岩松了氏の作品もそうだが、いかに破綻を計算して脚本を書くか、その破綻が狂気を孕んだところ迄持っていけるか、そしてそれを書いている本人がどこ迄正気でいられるか。と言う部分がデカい。そしてそれを観客がどこ迄つかめるか。つかまないでそのまま笑って終わっても充分面白いんだけど。
そこらへんを考えてナイロンを観ると時々怖くなる。破綻した状態が、あまりに現実を示唆しているからだ。笑って観ているうちにふと我に返ってゾッとする。
書いたことがことごとく現実になってしまう作家はホされる。妻は夫の原稿を完成させない為に薬を盛る。父の血を受け継いだ息子は幽閉される。しかし、結局世界は終わる。
戦争で片腕を失った男はドリル式の義手を着けてもらい、「かっこいいだろう!」と自慢していたところ、生き別れになった娘に再会。「おまえ、今迄どうやって暮らしてきたんだ?」「うん、売春!」。喜びの抱擁をしようと駆け寄ったら件のドリルで娘をガリガリガリ。
うわ、字面にするとスゴい陰惨だな。だが、これが笑える。笑える自分をオカシイと思うか?オカシイと思えるから自分は正常だと安心するのか?そんな基準は何の役にもたっていない。
久々の劇団員総出演だったこともあり、とにかく登場人物とエピソードが多い。皆をまんべんなく出したいと言うケラの優しさが、脚本を散漫にしていた印象もあり。愛情を感じました。笑って笑って切ない話。なんで親子3人が卵をかき混ぜてるシーンで涙ぐまんといかんのか自分。『カラフルメリィでオハヨ』でも顕著だったけど、笑いながらも涙が出る切なさ、刹那的だけど悲しくはない暖かさを書ける、好きな作家だ。
頭の調子が悪い時だったのでかなり消耗した。でも、とても面白かった。愛すべき作品。
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CANON ART PROJECT『URBANLENZ』@TN Probe
ナイロンの前にこれ。時間がなくて伊藤桂司氏の作品と『殺し屋1』リミクス作品しか観られなかった…。
イチのリミキサーは宇川直宏、Momus、菊池久志、Holeg(Spies)+ savka(敬称略)。予定ではCarsten Nicolaiも参加予定だったとのこと。合計15分作品。
宇川さんの『GIMNOPEDIE1/SATIE』は川屋せっちんさん大フィーチュアの画モノと、作品中の悲鳴をサンプリング→音階化し、サティのジムノペディの2部構成。背中がゾワ〜。
Momusはイチのいちばんラブリーなとこをいじってました。金子とラーメンを食べるシーンをループでタイトルが『Healing』。確かにこのシーンはちょっとホッとするところだったよな。ラーメンをすする音を意図的なのかズラしていて、癒し系の筈なのにどこか居心地が悪い。狙ってのことか?
菊池さん『FUNK REMIX』はファンキーなサウンドでミュージッククリップ仕上げ。人体がスパスパ切断されるシーンを集めて、それがまたいいリズムで音に乗っている。怖!でも格好いい。
ホレグ+サフカ『God is not goth』はオリジナルサウンドトラックで話を再構築。短時間なのにうまくまとまっていた。捨て曲なしのいいリミクス盤をもらったようで面白かった。
CANONが噛んでおり、最新機種のプロジェクターや音響システムを配した環境で作品を観られたってのも興味深かった。上映時間もきちんと公表されていて、こういう映像作品の展示としてはかなり親切だし、快適だった。ああ時間があればなあ…全部観たかった。関連イヴェントもかなり面白いものをかけていた(イチサントラライヴリミックスとかさ!本家(ボア面々)が出てさあ!)。あ〜時間があれば…(こればっかりか)。
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