初日 最新 目次 MAIL HOME


I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
MAIL
HOME

2002年10月12日(土)
『インソムニア』

『インソムニア』@新宿ピカデリー3


うっかりしていたら軒並み終映、慌てて都心での最後の館に駆け込む。『メメント』のクリストファー・ノーラン監督の最新作。ネタバレ箇所あります、ご注意を。

過去の映像をスパッスパッと挿入していくテンポ感、不眠に悩まされる主人公の刑事の視界効果等、演出はやはり目を見張るものがあった。アラスカの自然の美しさも瞠目もの。オープニングの空撮は素晴らしかったです。

宣伝媒体がどうも『メメント』のあの監督が!の話題性で持ち上げていたので肩すかしをくらったひとも多いと思う(自分含)。でも、キャスト陣も豪華だし、もっと違う紹介のしかたもあったのではないかと。猟奇殺人的なモチーフや、白夜からくる「時間の感覚がわからなくなる」部分を強調し過ぎたかも知れない。

デヴィッド・フィンチャーの『パニック・ルーム』もそうだったが、過去の作品のトリッキーさを観客が求めてしまう部分もあるので、どうしてもがっかりされがちなんだろう。しかしこういうまっとうな作品も演出出来ると言うことを証明したことにもなるので、この監督はこれからも面白いものを見せてくれるだろうとの期待も出来る。今回はリメイクものだったので、次はオリジナルでどうでしょう。楽しみにしている。

役者陣はズッパマリでした。ロビン・ウィリアムスにこんだけ悪役がハマるってのも新鮮でした。と言うか、正直いいひと役ばかり続いていた近作に食傷気味だったこともあり(実際観る気もあまり起こらず…すんませんね)期待半分不安半分だったのですが。本人もいいひと役は飽きたか?派手なスタンドプレイにも走らず、陰鬱で粘着質な犯人像は観ていて興味深かったです。アル・パチーノに至ってはホントに寝てないんじゃないかなーと思う程。時間が進むにつれクマと言うか、目の下の皮膚がどんどん落ちていくのが目に見えて分かる。ああこのひと絶対死ぬわーと言うか、不眠のやつれ具合に死相が滲んでいく様が流石でした。ヒラリー・スワンクはやっぱり格好いいな!尊敬して研究していた有名刑事のパチーノを信じたい気持ちと、彼に疑念を持ってからの、警察官としての葛藤に凛とした美しさを添えていた姿がステキでした。男前。動きも綺麗です。

全然関係ないけどパチーノさんていつも革ジャン着てるイメージがあるんだけど、今回「革ジャン野郎!」と言われてたんでつい笑ってもうた。


*********************
高橋洋くんの復帰が決定。本当に嬉しい。いろいろあったんだろうが、また蜷川さんとこに出るってのに潔さを感じました。今度は逃げるな、もう後がないぞ!