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kai
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2002年07月13日(土) ■ |
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思いこみの怖さと悲しさ『es[エス]』『プレッジ』 |
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ヘコみツアー。
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映画『青い春』EXHIBITION『朝日高等学校購買部』@Grey
舞台の朝日高等学校セットの一部を再現展示。雪男と大田のたまっていたトイレがむちゃくちゃリアルで息をのむ。勿論血塗れです。意外と、かなり狭い。そうだよな考えてみればトイレってこんくらいの広さだよな…うお〜怖い。まじまじと観てしまう。衣装の学生服も展示。木村の学ランだけ、裏地のあの刺繍が見られるようにボタンが外してあった。うーん木村格好よかったよなあ。実はいちばんの実力者って感じだったもんなあ、去り際も格好よかったし。おいしい。
教室の黒板や机には出演者の落書き。「オバケ参上」とか「今日のトークショーにはたくさんひとが集まりますように・青木(ちゃんと作品中に出てくる木のイラスト付)」とかオモロイ。
購買部も再現。ホームランバーはバニラ・チョコの2種ある筈が、暑かったからかアイスボックスはスカスカ、チョコバーが数える程しか残っていなかった。勿論食べた。うまかった。おみやげに朝日高等学校第二十六期卒業記念品の鉛筆を購入。
ベランダゲーム用の増築用屋上とかのセットプラン・カンプも展示されており面白かったです。
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『es[エス]』@シネセゾン渋谷
激混みで通路に座って観る。いやー、これは面白かった!面白かったっつうのもなんですが。でもこれしっかり娯楽作品として作られています。展開も予想がつくし、治まるべきところに治まるし、お色気もありで。ハラハラドキドキもしっかり組み込まれている。それでいて、環境と役割を与えられた人間心理の変化の怖さをきちんと描いています。要は思いこみって怖いねえと言う話。人間て意外とカンタンなんだね。だから怖いんだけど。
いい意味で一度観れば充分。ヘコむどころか観た後凄い話が盛り上がる。プログラムがカルテみたいな装丁で面白い。売場で「買いたいけど、持って帰ったら思い出して怖いからやっぱりやめる!」と言ってた女の子がいました。マジ怖いです。
囚人たちの中でリーダーシップを発揮する魅力的な主人公・77号を演じたモーリッツ・ブライプトロイ、いいね!他の作品も観てみたいです。
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息抜きに道玄坂の『でび』でラーメン食べ。すげーおいしかったっす。
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『プレッジ』@ガーデンシネマ2
『es[エス]』の、精神的に追い込まれた状況を打破しようとする、と言う設定から『カッコーの巣の上で』をふと思い出した。この作品で、病院の体制に自身は敗北するも、幾人かの患者に生きる希望を与えた魅力ある主人公を演じたのはジャック・ニコルソン。アメリカ公開から1年以上、待った待った!権利料がべらぼうに高くて配給会社さんが二の足を踏んでいるって話が伝わっていただけに、半分諦めてましたよ。GAGAさん買い取ってくれて有難う!
「たら・れば・かもしれない」が充満するストーリー。全てはニコルソン演じる刑事ジェリーの妄想だったのか?あの事件が起こらなかったら?ロリとその娘(このコがまたかわいくてのう)への愛情は本物だったかもしれない。終盤、あのヤマアラシを乗せた車が事故に遭わなければ?スタン達がジェリーを信頼して、もう少し踏み込んだ捜査をしていれば?
しかし、結果的には、たらればはたられば。実際には起こらなかったことなのだ。そうしてジェリーはひとりになる。とても虚しいし、悲しい。
ショーン・ペン監督って、一環してひとが抗えない運命にひきつけられていくさまを描いている気がする。どうしようもないんだよね、本人には。『インディアン・ランナー』の弟のように。私は弟側の人間だと言う自覚がある。多分これはどうにもならない。努力はするんだけどね。ダメなんだよね。
ベニシオ・デル・トロの出演作も久々。事故がなければ『The Hunted』ももう公開になってる頃だったのにねえ…。ワンポイント出演ながら、とても印象に残る役柄でした。気の毒だったしね…「うわ、まじやばい。でもかわいそう」みたいな。やっぱうまい。2時間ものをフルで魅せられる持久力もあるけど、瞬発力も高いなあ。
『es[エス]』も『プレッジ』も、ひとの思いこみの怖さと悲しさを描いていた。同日に続けて観たのは面白い体験だった。
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