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2002年05月25日(土)
『パニック・ルーム』

『パニック・ルーム』@渋谷パンテオン

デヴィッド・フィンチャー!デヴィッド・フィンチャー!このひとの作品とあらば必ず映画館に駆けつけますよ!思えば『エイリアン3』以外は全部劇場で観ているのだった。駄作と言われた『ゲーム』も大好きなんですけど。面白かったじゃんよ!そして待望の新作『パニック・ルーム』。以下ネタバレしまくりなんでご注意を。現時点で今年のベストワンです。







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いやもうとにかく見せ力が凄い。オープニングのクレジットCGからしてもうフィンチャー印、序盤の家の鍵穴からメグ(ジョディ・フォスター)の寝室迄をノーカットワンカメラで嘗める仕掛け(これは酔いそうになった。大友克洋の『MEMORIES/EPISODE 3 CANNON FODDER 大砲の街 』の手法(ヒントにしたのではと思われるが)を実写でやるとは…)等トリッキーさ満載。これこれ、これですよ。この凝った映像。それがきちんとエンタテイメントとして成り立ってるとこがこの監督の面白いところで。

しかし今回は、フィンチャー作品としては変化もあったような。後味がいい!(笑)犯人が意外と情けない!っていうかバカ過ぎる!(笑)いやもうとにかく犯人一味がアホっぷり満載なんですよ。いやー、アホだった。アホ過ぎて笑ってもうた。

離婚したメグとその娘サラ(クリステン・スチュワート)が新しく移り住んだ家には、以前住んでいた富豪の遺産が隠されたままだった。遺族のジュニア(ジャレット・レト)が、その遺産を持ちだそうと空き巣に入ったつもりが、予定より早くメグ達が引っ越してきてしまっていた為、結果的に押し入りになってしまう。侵入者に気付いたメグ達は、家に備え付けてあったパニック・ルーム(避難部屋)にたてこもり、犯人達と戦う羽目になる。

ジュニアは、パニック・ルームの設置工事をしたバーナム(フォレスト・ウィテカー)を一味に加えていた。このバーナムってのが基本的にいいひとで。そもそも子供の養育費(状況からして離婚したものと思われる)の為に金が必要で話に乗ったようで、「まだ入居者がいないと思っていたから来たのに」「人殺しはダメだ」と終始消極的。グループの中でいちばん知恵と配慮がある。そもそもフォレスト・ウィテカーと言えば『ゴースト・ドッグ』ですよ、もう悪いひととは思えませんよ!序盤家に入ってきた時長い木刀みたいなもの持ってて、いかにもゴースト・ドッグの殺し屋風情。これ狙っての事ですか?(と言えば今回のジャレットくんの髪型、ゴーストドッグだよなあ)発作を起こしたサラにインシュリンを注射してあげたり、いいひとだ…。最後は「逃げてくれ!」とか思っちゃったよ。ああそれなのにメグを助けてくれてさ…ほんとあんたは逃げてもいいと思ったさ〜!

脚本はデヴィッド・コープ。突っ込みどころアリアリなんだけど、それを気にしちゃダメだ!てな大らかさみたいなもんは『スパイダーマン』にも感じられましたが〜(笑)。いやその…警官が来た時何故メグは犯人の事を伝えなかったのか?とか。音声はパニック・ルームには伝わらないからそれとなく口頭で伝える事も出来たし、そうでなくても警官は「サインを出して」と言ったのにそうしなかったからなんでかな〜と思って。メグさん強いから自分で片を付けようとしたのかもしれんがそれはちょっと無謀ではないですか…。まあこの方が終盤のスリルも増すんだけど。あとラウール(ドワイト・ヨーカム)は何か目的があって一味に加わったの?と深読みさせといてハッタリだけだった、とか(笑)あはははは言い出すと出るわ出るわ(笑)

とはいえ結果的にはメグが勝つだろうってのは皆の予想するところで、実際そうなるんだけど、密室劇、一晩の出来事、サラが糖尿病と言う設定(急な環境の変化に体調がついていかない、定期的にインシュリンを注射しなければならない時間的制限がある)等のアイディアが面白く、そこにバーナムのひとの良さとかを絡めてヒヤヒヤさせる展開はお見事でした。また今日は客のノリがおかしくてさ…中盤メグが携帯をとりに行く為パニック・ルームから出た時は「はやく!はやく!」「逃げて!」「そこじゃな〜い!」って口に出す客が多くてな!時々うるさくもあったんだけど(笑)そんなん言われたらこっちの心拍数も上がりますよ!むちゃくちゃ前のめりになって観てしまいますがな。思わず手も握り拳に。

メグ役のジョディ・フォスターは相変わらず素晴らしかった。そろそろ反抗期の娘に序盤はなめられてたっぽい母親が、パニック・ルームと言う閉鎖された空間の中で現状を打開していく男ットコ前に変化していく様がよくてなー。いやもーホント格好いいわ。サラ役のクリステン・スチュワートも、娘っこらしい弱さと、母親を盟友としてフォローしている強さを合わせ持つ魅力的なキャラクターを堂々と演じてました。ボーイッシュでとてもかわいい。今後も楽しみ。ジュニア役のジャレットくんはホントにアホでした。あんたはホントにアホなコの役が多いね…んでいつも不憫な目に遭ってね…それも自業自得でね…。今度はアホじゃないコの役でひとつ(笑)。そしてそして、フォレスト・ウィテカー!いいひとだー!いいひとだー!やり手で優しさを持っていてでもちょっと不器用で不運。いつもしょんぼり顔の彼は本当に魅力的で、その分気の毒でした。今度は幸せになってね!

と言う訳でいろいろ突っ込んでますが面白いんですよ!フィンチャーやっぱ好きだわあ。マイナーなテーマをハリウッドマーケットに持ち込んで勝負出来るエンターテイナー。イカす監督です、最高。