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2002年04月29日(月) ■ |
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『ハッシュ!』 |
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『ハッシュ!』@シネクイント
病気療養中だった片岡礼子さんも復帰(よかった)、舞台挨拶にも出席されたそうです。そうなると、『メメント』ロングランで4ヶ月近くも公開が遅れたのもヨシとするべきか、待ってましたよ。
ヤサグレ生活を送っている朝子(片岡さん)は、そば屋で出会った勝裕(田辺誠一さん)に子供を作らないかと持ちかける。勝裕はゲイである事を隠して社会人生活を送っている。恋人の直也(高橋和也さん)はオープンなゲイライフを送っているが、ソウルメイトに出会えるか懐疑的だ。突然持ち上がった「家族を持つ」と言う人生の選択肢。既に諦めていた、ないものと思っていたその選択肢に3人とも戸惑い、悩み、ぶつかり合う。ようやく自分にも他人にも向かい合えるのでは…と言う状況になった時、勝裕の兄夫婦がある事件を持って上京してくる。
身につまされるアイタタタのシーンが多々ある。笑える構造になっているが扱っているテーマは重い。逆から言えば、そもそも人生は滑稽なものなのだ。物理的な孤独は有り得ない。だからこそしんどい。だからこそ面白い。
家族が簡単に崩壊する瞬間、他人を受け入れる瞬間の描写が巧い。と言うか、身に憶えのあるひとが描いているからこそ、なんだろう。何か事件が起こる訳ではなくても、家族ってユニットは結構簡単になくなるし、壊れるように出来ている。家族に限らず、何にしても作るのは簡単、修復は困難なものが多い。
時間的にも長めな、濃い作品を見せ切る演出力が高い。それに応えた役者陣が皆魅力的。いやー、皆良かったなあ。主役の3人は勿論、兄夫婦の光石研さん(終始諦め顔なのだが弟に向ける愛情が暖かい。いい兄や〜)と秋野暢子さん(男ットコ前。プロ。最後のエプロンを取るシーンは素晴らしかった)、ゲイである直也に理解があるようなないような(笑)母親・冨士眞奈美さん(オバチャン魂炸裂で爽快)、勝裕に思いを寄せる同僚・つぐみさん(怖!ヤバ!)、2丁目の面々(山中聡さんハマり過ぎです)、コンビニのナンパ男・沢木哲くん(ここ数作観る機会が多いのだが、毎回違う顔を見せてくれて面白い)。こんな絶妙なコンビネーションはあまり見られるものではない。2週間のリハーサルは伊達じゃない。
続きを感じさせる終わりにも笑顔。そう、当たり前だけど、生きている限り人生は続く。
☆そうそうあと、プログラムが凄いいい出来です。読み物として非常に面白い。
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