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2002年04月25日(木) ■ |
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『GLOWING GROWING』 |
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『GLOWING GROWING』@中野武蔵野ホール
ネタバレしてます。
精神状態の悪い時に観る作品じゃないよなあと思いつつ、26日迄の上映なので今日行っておかんと、と中野へ。急遽決まったらしく、堀江慶監督と百束尚浩撮影監督のトークショーが聞けた。以下抜粋。記憶で起こしてるのでそのままではありません。
堀江●後半の倉庫のシーン、戸田(昌宏)さん怒ったよねー 百束●360度から撮って、フィルムチェンジもしながら同じ芝居を通しで3回はさせたから 堀江●いや、リハも入れて6回はやった。あの(テンション高い)芝居を。「役者をもっと大切にしろ!」「テンションの持って行きかたがわからないよ!」(笑)。(村島)リョウくんなんか後半涙出なくなっちゃってたね(笑) 百束●撮った後モニタで見られるようにしてたから、役者さんにも芝居が終わったあと見せてたんだけど、堀江はあんまりモニタ通して見なかったよね。役者さんの芝居に集中してたから 堀江●役者さんの芝居がいちばんだと思ってるから。おおまかなフレームは決めるけど、どんなふうに撮るのかは百束を信頼してるって言うか。舞台で言うと芝居の演出が俺、舞台監督が百束と言う感じかな。 百束●実際俺も撮ってるわけではないし 堀江●フレームの演出を決めて、指示するのが撮影監督だからね。実際にキャメラ持ってるのはオペレーター。でもその分フレーミングの決定や、どうやって撮ろうかってアイディアに集中出来る。だからハリウッドのシステムみたいに、分業がしっかりしてるってのはいい事だと思うんだよね 百束●身体は疲れないけど、頭が疲れる。身体動かさないと寂しいんだよ(笑)
上映前のトークショーだったので、該当シーンを興味深く観られました。確かに倉庫のシーン、あれを6回やるのはキッツイよ…(笑)。
気になっていた『自殺サークル』との環境の類似(ネット上の集団自殺サイト等)は、実際観てみれば全く趣が違ってホッとしたと言うか。『自殺〜』は集団自殺が起きてからそれを追う話、『GLOWING〜』は自殺する迄のロードムービー。公宣(戸田さん)が純(リョウくん)を「自殺しに行こう!」と誘って自転車で集団自殺サークルの集合場所へ向かう迄に、いろんな事があったりなかったり。大洗海岸と大磯海岸、自転車の疾走感が美しい(これは観る価値あり。いい画です)。その分、自転車が止まる時の鈍重さが胃にクる。
公宣と純はやたらスキンシップが多かった。以前一緒に暮らしていたそうだし、思わせ振りなシーンも結構あった。しかしそれを恋愛としてではなく、庇護する者とされる者の関係として見せている感じがしたので、その背景は何なんだと気になって、観た後資料漁りをしてみたら、本編では具体的に語られないある設定があったそうだ。その設定を踏まえて観れば、オバチャンに買われちゃったり、妹に疎ましがられながらも気遣われる、純のどこかピントのズレた言動には納得が行く(観てる最中はそんな事知らないから、「うおおおいなんでだなんでだなんでだよう」と思って観てましたがね…)。
とは言っても、公宣には純を守るだけの度量はない。ヘタレだからね。結局、公宣は逃げ出す。生への執着が、道中モナリザ(篠原里枝子さん)に遭う事によって呼び起こされる。一方、純はひとと関われば関わる程死への憧憬を深くしていく。ひとりで集合場所へ到着した純は、死ぬ前にひとが見ると言う風景を目にする。
戸田さんとリョウくんの、微妙な関係性を表現した演技は見物でした。倉庫のシーンがまたね、あんな裏話を聞くとね。こ、これを6回も…おつかれさまでした…。あと自転車のシーンがやっぱ良かったなー。遠藤雅くんがちょこっと出ていてビックリした。ひょっこりオーディションに現れたとか。そらスタッフも驚くよ。オーディション組では、篠原さんがよかった。これがデビュー作とは!スクリーン映えする役者さんです。気になる。役者各々の力量に差があり過ぎる部分や、話が甘い!若い!と思う部分もあったが、若いならではのいびつな面白さがあった。この監督の作品は今後楽しみかもしれない。
いやあ、今厭世感でいっぱいなんで肯定肯定。自分は死んでいいと思うのだ。でもひとが死ぬのはイヤなのよ。勝手でゴメンな。
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