欲しいもの
私がオフィスで仕事をしていたら、Dさんが覗き込むようにして ドアの外から声をかけてくれた。
『もしかして、もう帰る?』 「ウン。・・・今日は両親のとこに行くつもりだからね」 Dさんは家族をとても大切にしているらしい。。 この前みんなで食事に行った時に、携帯にお母さんから電話がかかってきて、 食事中なのにずっと喋ってるからそんなに大切な用事?と思ったら 「3日も喋ってなかったから、さすがに邪険に出来なくて」だって。 GMには早速「こいつマザコンなんだよw」って言われてたけどww
「あ、しまった!洗濯物持ってくればよかったなぁ・・・」 と、Dさんがつぶやいたので、 『お母さんに洗濯してもらってんのぉ!?』 と、少しだけ引いてしまった。
・・・てか貴方、もう40歳でしょ。
そんな私の心の声を声色から感じ取ったらしいDさんは、 「いや、お袋がやりたがるんだって」と、弁解。 『で、またこの前みたくお母さんに朝フルーツ作ってもらうの?w』 と私が冷やかすと、「そうww」と、にんまり顔。
・・・イタリア人の男性は全員マザコンだって言うけどね。 ドイツ人もそうなのか? ってか、マザコンとお母さんを大切にする人の境界線はどこだろう??
ふと、気になったので聞いてみた。 『一人っ子?』 「いや、5人兄弟だけど」 『上?下?』 「下から2番目」 『上はみんな結婚してんの?』 「・・・してるねw」
だからだな、と思った。 『お母さん、次はDだと思ってすんごい必死なんじゃないの?w』 と言ったら、 「まぁ・・・それはもう前から・・・でももう放っておかれてるよ。 俺はまだ下に比べれば社交性があるし」 『下は?』 「アレはだめだなぁ・・・自分と合う人をただ待ってるだけなんだろうけど 全然人との出会いがない職業だし、過去には彼女もそんなに居なかったし・・・」 『へぇ、それじゃDはまだ待ってるんだ?自分に合う人を』 「そうだね」 恋愛話をDさんとすることになるとは思わなかったけど、 なんとなく話題はそんな方向に。
「自分が欲しいもののことを、ちゃんと頭に描いておくのは大切だよ」 欲しいものとは、例えば理想の男性だったり、理想の関係だったり。 『そうかなぁ?でも、虚しくならない?理想と現実のギャップを感じて』 私は、なる。 自分が鎖に繋がれてかごの中にいる状態で、外の景色を見ている気分。
「まぁ・・・でも、理想に近づけるように軌道修正は出来るでしょ。 道を間違えてたら、戻れば良いし。近道も遠回りもあるだろうけど」 俺が言うことじゃないかもしれないけどね、と、Dさんが笑って言った。 『そうだね。ま、実際私は過去の関係の清算すら出来てない状態だから 一人になりたいって気持ちが強すぎて、今はまだ次のことまで考えられないよ』 「でも、今の関係がダメだったからって、全てを否定しちゃダメだよ。 相手にもよるのかもしれないしね」 『そうかな?そうかもね。違う人となら、上手く行くのかもね』
違う人となら・・・例えばCとか? うーん・・・実感できないな、まだ。。
2006年12月09日(土)
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