前潟都窪の日記

2005年02月02日(水) 密葬  連載の22

今岡多市と寿子の関係その2

 多市が盆に帰省したとき、兄嫁静子の妹寿子が遊びにきていた。そこで初めて多市は寿子に会ったのであるが、その美貌と賢そうな立ち居振る舞いにぞっこん惚れ込んでしまい、この人を嫁にとまで思い込むようになったのである。
 一方寿子は来年高等女学校を卒業することになっており、彼女には町長の息子で慶應大学へ在学している意中の人がいた。彼も来年卒業する予定で二人が卒業したら結婚しようということで婚約していた。しかしこれは二人だけの間の密約でまだ両親には双方打ち明けてはいなかった。

 寿子は教師をしている姉の久仁子だけには二人の関係を密かに相談し、折りを見て両親に話して貰うことにしていたのである。

 そうとは知らぬ多市は寿子を嫁に貰いたいから仲介を頼むと義姉に当たる静子に依頼したのである。秘密にしていたとはいえ、静子は姉の久仁子からそれとなく寿子が町長の息子と婚約していることを知らされていたので、多市に対して仲介は出来ないと婉曲に断ったのである。静子にも家柄不釣り合いの自分の結婚に不満を持っており、妹にはこの思いを味わせたくないと思ったからである。


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