フルートさんの日記
フルート奏者 齊藤佐智江



 金木犀

 いつのまにか、空気が変わった。金木犀の香る風が心地よい。それもそのはず、明日から10月だ。かろうじて、毎月書く!というのを守って何ヶ月めだろう?
昨日、生徒さんたちとのフルートアンサンブルの小さな演奏会を無事に終えた。今回は一人必ず1曲は1番を吹いてもらおうと思い、プログラムと誰を何番にするかでずいぶん迷った。散々、迷って決めたつもりだったが、一人だけ1番を吹かない人ができてしまった。故意ではなく、あまりに複雑で考えすぎたこともあって、本当にうっかり抜け落ちてしまったのだった。ところが、最後の練習のとき、その曲は私が1番をということになっていたのだが、いまさらながらやはり気になって、その方に「やってみませんか?」と言ってみた。実力はあるが奥ゆかしい方なので、うっかりの気後れもあって断られたらどうしようと思いつつ・・。すると、「そうですか、やってみます」とおっしゃって練習のときに見事にソロを吹ききった。

 私はフランスにいたときに、ソロはもとより、室内楽奏者では右に出るものがいない、というほどすばらしいクリスチャン・ラルデという先生に見ていただいていた。(そのおかげで室内楽にはまってしまった・・・)もう、6,7年前になるが、その先生が来日した際に行われたインタビューで「チャンス」について聞いてくれ、と頼まれていたので、「チャンスをつかむにはどうしたらいいのでしょうか?」と聞いた。すると、「そのチャンスをつかむ準備ができていることが大切だ」とおっしゃった。

 さきほどの生徒さんの話に戻るが、その方の見事なソロを聴いていて、そんなことをふと思い出した。私はといえば・・・。(泣)
それにしても昨日のあの生徒さんたちの演奏の見事なこと!
7月の発表会、あまりの準備不足で生徒さんたちが未消化のまま、演奏するはめになったが、それはあきらかに私のせいだった・・。時間をかける。そんな基本的なことの大切さをあらためて考えさせられた7月の発表会だっただけに、昨日の結果は私も本当に嬉しかった。

 そういえば、10月4日に始まる芝居のDMが大好きな役者さんから今日届いた。「緊急通告!切符が売れてないわけではありません。ただDMが遅れただけです・・今すぐお電話ください」なるほど(笑)。私もDMがまだだ。11日に茂原で、18日に千葉のドルチェホールで室内楽のコンサートがあるというのに・・!

日記書いてる場合じゃないか・・。金木犀の香るうちにかかなくちゃ。
それでは、また。



2003年09月30日(火)
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