徒然なる Short story 集

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『月のカケラ』 九

2006年08月11日(金)

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆  


「今頃気付いたのかよ? おまえ、鈍過ぎ」
「……なんで、あんたがここにいるのよ……」
 お弁当を手に下げ立ったまま、あたしは憮然として言った。
 いつものように、時間がたっぷり取れるからと、中休みにあたしはレンに自分が気付いたことを話した。
『あったり〜! 大正解♪』
 ちょっとおどけて、手をパチパチ叩いてみせたレンと、あたしは今回の異変に付いて話し合った。
 しかし、話をまとめるには時間が足りず、続きはお昼休みにでもしようということになったのだが……
 今日は場所を変えて外で食べることにし、れんから指定された場所に来てみれば、何故かあの野郎も一緒にいた。
 慌てて駆け寄り、一体どうしたのかとレンに問う寸前に、彼は開口一発ああ言ってきたのだ。
(鈍いとはなによ! 相変わらず、口の悪いヤツ…)
 あたしがヤツをジッと睨んだままでいると、
「まーまー、たまにはいいじゃねーの。多い方が楽しいぜ?」
 そう、取り繕うようにいい、芝生に座るように促すレンに、あたしは渋々従った。


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如月なつき [MAIL] [HOMEPAGE]