「まあったく……月の神さんも何やってんだかねえ? 案外抜けてるよな?」 「いや〜そんな事言われても、何て答えればいいのか」 ハタハタと手を振るあたしに、レンは「そうか〜」と、ちょっと気落ちした様子。溜め息一つつき、 「なあ……やっぱ疑っているか?」 「それは……」 あたしはどうしたもんかと考えたが、 「そりゃそうよ。そんな夢みたいな話、ある訳ないじゃない」 「去年の夏休み幽霊見ただろ!?」 「あれはあれ、これはこれですー! 幽霊が存在することはわかったけど、妖精とか月の神様とかは話が別よ!」 きっぱりと言うあたしに、 「ケチ!」 とレンは言った。 (ケチとかいう問題じゃないでしょうに……) 思わず呆れるあたしに、レンは石をポケットにしまいながら、 「信じる信じないは別として──これから大変になるぞ」 「……何?」 聞き返すあたしに不敵な笑みを浮かべるレン。 「何で?」 「こいつが、『月のカケラ』だからだ」 答えにならない答えをし、今度はいたずらっ子の笑みを浮かべた。
つづく
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