表身頃のココロ
ぼちぼちと。今さらながら。

2005年11月04日(金) 演劇「オセロ」ク・ナウカ / 北斎展

◇ク・ナウカで夢幻能な「オセロー」

独自の道を突き進むク・ナウカによる夢幻能形式の「オセロ」。
場所は国立博物館の日本庭園特設能舞台。
能舞台はシンプルな作りながら、日本庭園の池と茶室を借景の贅沢さ。
東京の空は夜でも明るいが、それでも光の対極にある闇を体感できる空間。
電気など無かった時代の真の闇にしばし思いを馳せてみる。

これは女優美加里の存在あっての「オセロ」という印象。
何か憑いている(?)としか思えない彼女に震える。
今回も「あ、今何かが降臨した〜」てな瞬間あり。
美加里以外も熱演で、それなりに楽しんだ。

少し前に、夢幻能形式について、小娘からレクチャーを受ける。
有名な話を、登場人物の中で亡き人が降りてきて語るという切り口なんである。
どろどろとした「オセロ」をデズデモーナ側からすっきり描く。

実際の能の謡いは、言葉を長ーーーーーく伸ばし、もはや素人では日本語が理解できない域である。それをク・ナウカでは言葉を伸ばすことをやめ、文語体ではあるが日本語として聞こえるセリフで演ずる。美しい言葉に脳内うっとり。
しかし、時々プロジェクターで一部のセリフを字幕投射。何故?最近のテレビの日本語のための日本語字幕という余計なお世話を思い出す。見たくないのに目は勝手に字幕を読んでしまう。ちょっと興ざめなんである。

また、アジアンテイストのお囃子はいつもと変わらず心地よい。
が、デズデモーナがシテであるからか、女声メインで何故か落ち着かない。
また、リズムに大げさな緩急をつけ、部分的に反復(大げさに言うとDJのレコードスクラッチみたいに)させた囃子は、悪くはないけれど、好みではない。

どうもク・ナウカには期待をかけてしまうようで、その分マイナスしてしまうみたいで申し訳ない。てなわけで、美加里に感激するも、何だかもやもやと帰途についたのだった。

東京国立博物館 日本庭園 特設能舞台
原作:シェイクスピア 演出:宮城聰 謡曲台本:平川裕弘 間狂言:田島雄志訳による
出演:美加理、阿部一徳、中野真希、大高浩一、大道無門優也



◇北斎展

「オセロ」の前に、国立博で開催中の北斎展を見る。
入ってすぐ絶望の淵にたたされる・・。
ものっ凄い混雑ぶり。
しかも“初期から最晩年の作品まで500点を並べる大規模な展覧会”ゆえ、展示自体果てしなく長い。
金曜日の閉館延長のため「オセロ」が始まるまで、2時間以上用意した時間だったが、途中で到底見尽くせないと悟る。浮世絵好きの小娘はあまりにもゆっくり見過ぎるのだ!
そして哀しいことに、途中から、泣く泣くダイジェストで見る事になる。

初期の作品も良いのだが、だんだん洗練されていく過程を目の当たりにすると、その凄さが実感として迫ってくる。あぁうれしい。

有名な「神奈川沖浪裏」は、メトロポリタン美術館所蔵のものと国立博所蔵のものとが並んで展示してある。刷りでこんなに違うのかと今さらながら驚く。METのが世界で一番美しいと言われているそうだが、心から納得。
「赤富士」の初刷りは、赤くない・・・。
「百物語」現存する5点の本物が見られて嬉しい。などと、とりとめもなくはしゃぐ。
小娘が浮世絵好きなお陰で足を運ぶ気になったわけだが、心から感謝だ。

図録は、ほぼ400ページあって3000円!素晴らしい!

名前の変遷
第1期「春朗期」 20歳〜
第2期「宗理期」 36歳頃〜
第3期「葛飾北斎期」 46歳頃〜
第4期「戴斗期」 51歳頃〜
第5期「為一期」 61歳頃〜
第6期「画狂老人卍期」75歳頃〜


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るつ [MAIL]

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