表身頃のココロ
ぼちぼちと。今さらながら。

2005年03月12日(土) 金沢21世紀美術館

1週間ほど実家へ帰ってきた。
昨年の10月にオープンした金沢21世紀美術館へ行くのも今回の大きな楽しみだった。

とにかく気に入ってしまって、1週間の滞在中、3度も足を運んでしまった。

話題の建物は、昨年のベネチア・ビエンナーレの国際建築賞で金獅子賞を獲った妹島和世+西沢立衛=SANAAが制作。
透明なガラスで囲まれた円形平屋建て。中も外も美しい。

展示されているのは、今、この時のモダンアート最前線。
ほぼ半分が無料ゾーン・半分が有料ゾーン。
有料ゾーンでは、ジャンクで出来た脳内ネットワークのただ中でゆうるりと時間の流れるゲルタ・シュタイナー&ユルグ・レンツリンガーの“ブレインフォレスト”、自分の中と外の感覚に不安を覚えるオラファー・エリアソン“反視的状況”、病んだ精神の解放を感じさせるできやよいの作品群(草間弥生をちょい想起)、レアンドロ・エルリッヒ“スイミング・プール” などなど他にも興味深く面白い作品ばかり揃っている。


しかし、一番気に入ってしまったのは、ジェームズ・タレルの“ブルー・プラネット・スカイ”別名タレルの部屋。
コンクリートで囲まれた部屋の天井が四角く切り取られ、実際のナマ空が見えるようになっている。四方の壁に音が吸い込まれ、しんとしたたたずまいの中で見る屋内の切り取られた空は、屋外とは全く違う表情をしている。
私が最初に訪れた時は、霧雨が部屋に漂っていた。四角い空に流れる雲は速く、まぁ、とにかく、体調絶不調の中、雨のにおいと共にその状況に何故か打たれてしまったのだった。
その後、青空に輝く光が射し込み、その光が動いていく様を眺め、また別の日には夕闇迫る薄暗い空間の上に浮かぶ青い空を見上げぼんやりなどしていたわけだ。
この“タレルの部屋”は、無料ゾーンに置かれていて(永久展示らしい)、市民はいつだって立ち寄れるのだ。ある意味この美術館の最大の功績かもしれない。
実は私の母校は今は移転してしまったけれど、この美術館のすぐそばにあったのだ。
あの時これがあったらなぁなどと思うのは愚かなことだけれど、もしそうなら“タレルの部屋”にはきっと毎日学校帰りに来てたぞ・・などと思う。

この“タレルの部屋”無料ゾーン設置の精神にも現れているように、この美術館は、地域と共に生きて行くぞ!の決意がそこここに感じられる。
まだオープンしたばかりで早計かもしれないが、特筆すべきは本当に市民に受け入れられている(ように見える)という点かもしれない。
いつ行っても通りかかって見ても、いい具合に混んでいるし、美術館の図書館にあんなにいつも人がいる状態って見たこと無い。
ちょっと誇らしいキモチになってしまったのだった。
その後、ぼやっと金沢発のブログやなんかを見ているうちに、戻りたくなってきてしまった。金沢はいいところだ〜♪

さてさて、ジェームズ・タレルがすっかり好きになってしまって調べてみたら、日本で他に二箇所で見られるようだ。
その中でも光の館には倒れそう。タレルの作った家に泊まれるのだ。切り取った空を眺めながら眠れるのかもしれない。
また話題の直島の地中美術館にも是非行きたい!


うちの“タレルの部屋”
天窓のガラスを取れば“タレルの部屋”ぢゃん!
いや・・そんな。


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