◇ 踊るサテュロス 国立博物館 表慶館
1998年、イタリア南部シチリア島沖、水深480mの海底から一体のブロンズ像が引き揚げられた。両手、右足そして尻尾を失ったこの像は、酒に酔い有頂天に舞い踊るサテュロスを表現したもの。4年にわたる修復を経て、二千余年の永い眠りから目覚めた『踊るサテュロス』。 サテュロスは、ギリシャ・ローマ神話に登場する「森の精」で、葡萄酒と享楽の神デュオニソス(バッカス)の従者とされる。 この像は、現在、ギリシャ古典彫刻の大傑作としてイタリアの宝とも称される。
サテュロスが展示してあるのは国立博物館の表慶館というところ。 初めて入ったのだが、建物自体が感動の美しさだ。 J・コンドルの弟子で迎賓館も手がけたという片山東熊の作。 国の重要文化財に指定されているという。 このサテュロス像のためにこの建物が建築されたのか、はたまた短期間とはいえこの建物に鎮座するためにサテュロスが海の底の永い眠りから覚めたのか!などと激しく誤解したくなる程ぴたりとはまった空間だ。
両手・片足が失われていても、いや・・だからこそより溢れるのか躍動感。体のねじれ・筋肉の動き・髪のたなびき・バランス感のたまらぬ美しさ。
サテュロス像が発見された海域からはいまだ金属反応があるという。 他に何人もいるデュオニソスの従者達が発見される可能性もあるようだ。 森の中、酒を飲み踊る従者達がたき火に照らし出され、森の木に長く短く伸び怪しくうごめく陰が映し出される。 そんな像達をも見てみたい。
同じく国立博物館で開催中の唐招提寺展は凄い人出だった。 私も行きたいのだが、とりあえず先に終わってしまうサテュロスを優先してしまった。・・・と思っていたら、こちらの方が早く終わってしまうのかっ!無念。 あぁっ、でも中宮寺の菩薩は是非見に行く。 あぁぁっ、私が渾身の思いで一番見たい“ラ・トゥール”が始まる!ぜいっぜぃ。 その他、この春は見たい展覧会・美術展が多すぎて大変〜♪
とりあえず、サテュロスは3/13まで。その後、愛知万博で展示される。
(3/3)
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