2004年11月22日(月) |
フィルメックスその2「世界で一番悲しい音楽」 |
◆「世界で一番悲しい音楽」 The Saddist Music In the World [カナダ/2003年/99分] 監督:ガイ・マディン 脚本:カズオ・イシグロ(「日の名残り」) 出演:イザベラ・ロッセリーニ、 マリア・デ・メディロス、 マーク・マッキニー
世界で一番悲しい音楽の一等賞を競うコンテストが開催されるのである!ひぇ〜。 何たってイザベラ・ロッセリーニである。彼女の役柄は、両足切断という憂き目にあっているが、コンテストの主催者である金持ちオレサマ実業家。後半では、中にビールを満たしたガラスの義足をつけて踊るのだ。義足の中の炭酸の泡もシャンパンのように美しく、新しい足で踊るイザベラ・ロッセリーニの吹っ切れた姿の素晴らしいこと!バックダンサーの太股共々、一生忘れられないシーンになるかも。 ガイ・マディン監督は、初期作品では男性主人公を義足にしたりと、足に対するフェチズムを垣間見せていたが、ここでは正面からあの手この手で画面を通じて足賛美謳歌すりすり耽美る。あぁ潔い。 その他、ロッセリーニと過去にいわくのある主人公を中心に、亡くなった息子の心臓を涙漬けの瓶に入れるチェロ弾きの兄、記憶喪失でニンフォマニアの妻、ロッセリーニを思い続けてガラスの義足を作る父などが、無くした愛を探しつつ、賞金目指して入り乱れる。 この設定からして、わくわくせずにいられようか!
・・が・・・が、肝心の「世界で一番悲しい音楽コンテスト」自体が面白くないのである! 原作のカズオ・イシグロが脚本も手がけているということだが、小説では言葉で納得できる部分を映画で表現するのは至難の業。 そして、きちんと整ってしまった脚本は、混沌としたガイ・マディンの魅力を薄めてしまったような気がする。 てなわけで、設定の面白さとイザベラ・ロッセリーニの魅力で引っ張ってはいるが、ちょっと残念な結果になってしまった・・。
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