2004年11月23日(火) |
フィルメックスその3 ウド・キアートーク + コンペ2本 |
◆終わらない物語 Story Undone [イラン/2004年/83分] 監督:ハッサン・イェクタバナー
イランからそれぞれの事情で国境脱出を図る一行に同行取材を試みるドキュメンタリークルーの顛末を描く。 話の転がり方が非常に面白く、わくわくさせられ笑わされ考えさせられる。
★ ウド・キアー氏を囲んで ★ トークイベント
次の映画の前に何か食べて来ようと出たところ、11Fスクエァで「ウド・キアー氏を囲んでートークイベント」開催の文字。 即、入室する。
終始上機嫌のウド・キアー氏。 まずは、自分のモノローグから始めて後で質問にしようか、と提案。 彼の話の面白いこと! 司会のジェイムズ・リプトン氏抜き「アクターズ・スタジオ〜自らを語る」シリーズのよう。 まずは第二次大戦中、生まれたケルンの病院での驚くべき話から。 生後間もなく彼の生まれた病院に空爆があり沢山の母子が亡くなったが、彼と彼の母親は運良く壁際に位置して助かった。母親は片手で彼を抱き、片手で瓦礫を掘って進んだそうだ。おぉ、選ばれた子よ〜♪
ファスビンダー監督とは、まだお互い映画の道に進むなど考えもしていなかったティーンエイジャーの頃、地元ケルンの街のパブで飲み仲間だったそう。 後に監督となった彼と偶然会った時は良い再会ではなかった(後の質問コーナーで、それは彼が高慢な奴になっていたからという答え)が、その後、また友情を取り戻し、以後、俳優として出ていないものもスタッフとして参加し全作に関わって来たとのこと。
トリアー監督とは、ロカルノ映画祭でトリアーの「エレメント・オブ・クライム」を見て感激。後にセッティングしてもらって会うことになった。現れたトリアーは、一見こざっぱりとした青年だったが、開口一番「映画祭なんて大嫌いだ・・・それより、ここに来る途中で見た道で転んだおばあさんの方が意義がある」とぼそぼそっと陰気な口調で話したとか♪
ポール・モリセイ監督とは、飛行機の席が偶然隣り合わせ「仕事は?」「俳優」「そちらは?」「監督」てな具合で始まったそう。 「処女の生き血(アンディ・ウォーホルのドラキュラ)」の時は監督から10日(5日だったか・・?)で10キロ体重を落とせと言われて、全く食べ物を口にしなかった。おかげで体重は落ちたけれど、体が弱りきり、本番では車椅子に座ったままなってしまったなど。 最近、アメリカの超有名カルトホラー雑誌「ファンゴリア」で過去のドラキュラ役の人気投票で一位に輝いたと嬉しそうに語っていた。ほんに何とチャーミング〜♪
以上は楽しいトークのほんの一部分にすぎず、予定時間を超えても本人から延長の提案でまだまだ続き・・・・このまま居続けて次の映画をパスしようかなとも思ったが、後ろ髪を引かれつつ途中退席。 あの後、どんな光景が繰り広げられたのだろうかぁぁぁぁ〜。
◆ トロピカル・ラマディ Tropical Malady [タイ/2004年/118分] 監督:アビチャッポン・ウィーラセタクン
空腹のまま挑んだこの映画、修行させてもらった。 前半と後半、まるで違うテイストの映画だ。 前半はきらきら輝くのほほんと幸福な時のつれづれなるままの描写。 後半は、ジャングルの中を虎に姿を変えた目に見えぬ精霊を追い、導かれるまま進む兵士を延々と描写。 実は虎に姿を変えられた精霊は元呪術師。変身の後、人の記憶を食べて生きている。どうやら前半のきらめく時は後半の兵士の記憶・・・らしい。 ・・・空腹と展開のない画面に眠気をこらえつつ、修行の約2時間。疲れ果てた。 映像は美しい。前半の同性愛的恋人達も可愛かった。
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