表身頃のココロ
ぼちぼちと。今さらながら。

2004年11月13日(土) 「ベルリンフィルと子供たち」




◆ ベルリンフィルと子供たち
Rhythm is it! [ドイツ/2004年/105分]

監督:トマス・グルベ、エンリケ・サンチェス・ランチ
出演:ベルリン在住250人の子どもたち
サー・サイモン・ラトル
ロイストン・マルドゥーム (ダンス・ユナイテッド振付師)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

この有料試写会、実はチラシには、【サイモン・ラトルとベルリンフィルメンバー来場 予定
とあったのだ。
来日中のラトル氏のお姿を拝み、あわよくばメンバーによる簡単な室内楽の一節でも・・などと、下心を抱いて足を運んだ者を誰が責められよう・・うう。
当日、ステージに現れたのは第一ヴァイオリンのメンバー1名と広報担当者。
型どおりではあるけれども、心のこもった挨拶をいただいた。不満は言わない・・。
また、この日はベルリンフィルの教育プログラムのためのチャリティ有料試写会だったのだけれど、メンバーが新潟地震のことを知り、急遽、全額新潟地震の被災者に寄付することになったとのアナウンスもあり。ちょっとうれしい。

映画は素晴らしかった!
ラトルが発足させたベルリンフィル教育プログラムの一環として、250人のドイツの子どもたちとのダンスの競演を行うという大きな企画を追ったドキュメンタリーである。
いくつかの学校と町のダンススクールの生徒達がそれぞれ練習をし、合同で本番に臨むのだ。
この映画でクローズアップされているのは、その中でも底辺の地域に住む子どもたちの姿だ。
クラシックなど全く興味無し、前向きの姿勢無し、筋力体力精神力無し。ないないづくしの子どもたちと振り付け師ロイストンの戦いが始まる。
子どもたちの風景と並行して、ベルリンフィルのリハーサル、指揮者サイモン・ラトルのインタビューなどが入る。サー・ラトルの知的で誠実で穏やかで好奇心旺盛な人柄が現れた話に心打たれる。なんてキュート!
また、インタビューの内容とその時々の子どもたちの状況とが微妙にリンクしていてこれまた心打たれてしまう。
ただ、子どものバックグラウンドの説明時に流れる感傷的なフレーズは不快で不要。

曲はストラビンスキーのバレエ曲「春の祭典」。
脈打つ強力なリズムはクラシックに縁がない子にも良い選曲だと思う。
それにしても、ベルリンフィルの音は美しく厚い。
この映画の公開時上映館はユーロ・スペースである。個人的にはユーロ・スペースの会員だし大好きな劇場であるけれど、正直言って、ここで上映と知った時は音の点で勘弁してくれ〜〜と思ってしまった。
今回の会場、浜離宮ホールは普段小規模なクラシックのコンサートホールとして知られている。
今回できうる限り最高の環境で聴き、見ることができて本当に幸せ♪
 −余談ながら、ユーロ・スペースは来年か再来年に新ビルに移転するそうだ。
  映画を見る環境が格段に良くなるのは間違いないと思われ、楽しみでしょうがない。

ラストのステージは、集団子どものお遊戯発表会風ではなくきちんとした芸術作品として完成しており、拍手拍手。
「あなた達は可能性に満ちている!輝きを秘めている!」という言葉。
今なら心の底から分かるこの意味、その当時は分からないものなのだ。
このプログラムによって自分の可能性を少しでも見つけられた子は幸せである。


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