嗚呼!米国駐在員。
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2005年06月11日(土) 米国、中国、政治力のある国は大変だ

アメリカが中国政府に対して人民元の切り上げを迫っている。理由は中国の対アメリカ輸出が急増しているからである。特にアメリカの繊維産業の業績は中国品に食われて下降の一途。

要は大量に安い製品を送り込んでくる中国が気に食わないからだ。

アメリカは中国からの繊維製品輸入に対して特別税を課すると警告したが、
これに対して中国政府は繊維の輸出税を自主的に引き上げた。国際世論に応える意味もあったろうし、繊維製品の輸出値が安すぎると言われるのなら、安すぎる分を政府がとった方がいいやと考えたとも言われる。
こうした中国の措置は日本では出来ない措置だろう。

一方で米国はこうした中国側の措置にも関わらず、中国製繊維製品に対する緊急輸入制限(セーフガード)の動きを加速させた。これに怒った中国は、輸出関税80種類を全廃してしまった。

世界の両大国の争いは泥沼化。
ビジネスマンとして見るならば、お上(政府)の思惑に振り回される両国繊維産業に携わる企業はたまらないだろうと思う。自社の利益はお上次第。


確かに、ここまで世界市場に影響力を与えている中国が未だに固定レートがを適用するのはどうかと思うし、実際に中国だって人民元改革を表明しているから後は当局の判断を待てばいいと思うのだけど、それにしてもアメリカはアメリカで保護主義の度がすぎる気がする。

例えばGMの申告的な経営不振なんて、魅力的な車がないことと、医療費負担の度が過ぎることにつきるのに、未だに為替によって日本車が恩恵を受けているのが原因、なんて言っている。

こうしてすぐに政治力に頼ってばかりいるから、製品そのものの魅力を失い国際競争力を無くしているというだけのことだ。繊維も車も、自国産業不振の単なる責任転嫁に思えるのだが、違うだろうか。そして、こうした政府の対応に慣れきった米国民の勘違い。


政治力のある国というのは大変である。
そんなものを期待しようのない日本企業は、自己努力あるのみ。はなから、お上に期待しようがないから、ある意味で幸せな環境なのかもしれない。



Kyosuke