嗚呼!米国駐在員。
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2005年05月04日(水) |
髪を切ってもらう事の難しさ |
案の定、平穏な火曜日。休暇というのに熱心な中国企業の社長から3通のメールがあっただけ。当然、日本からは何もなかった。
とっとと5時で仕事を終わらして散髪へ。 今日は韓国系美容院に挑戦。初めての場所である。毎回期待を大いに裏切られるアメリカの美容院なのであるが、ここはまあまあという評判を聞いていたので、大いに期待した。
店の作りは古いが、小奇麗な韓国人オバサンが応対。片言の日本語を話す。 髪はボサボサに伸びていたし、今日も気温3℃だけど夏は近い。バッサリと切ることにした。イメージはイチロー鈴木。ちょっとスタイリングすれば遊べるようにカットしてもらうよう頼んだ。上は軽く立つ位にして、と言って、分かった、と笑顔でうなずくおばちゃん。いきなり1センチくらい残して残り15センチを切ろうとした。ハサミを入れる直前、「ちょっとちょっと、上はもっと残してよ。」と慌てて下から手を伸ばしてさえぎる。分かった、と笑顔でうなずくおばちゃん。そのまま、ばっさばっさと何のためらいもなく、トップをきってしまった。その間1分。
絶望的である。
後はサイドをバリカンで仕上げだした。バリカンなんて使われるのは20年振りくらいじゃないか。もうまな板の鯉である。怖くて鏡に写る自分の姿が見れなかった。必死に目を閉じた。耳元ではバリカンの音。
「シャンプーです」の一言でおそるおそる目を開けると、そこには韓国兵の出来上がり。もう、おしゃれの影も形も何もない。
ああ、ここも駄目だったか。 料金19ドルに、チップを渡さぬ勇気もないので3ドル追加して店を出る。最後まで愛想のいいオバチャンであったのがせめてもの救いであった。
髪型というのは不思議なもので、他人から見ればどうでもいいような箇所が、本人にとってはえらく気に入ったり気に入らなかったりするものである。全く見た目では分からないような事が、なんとなく気持ち悪いとか落ち着きが悪いとか。日本にいたときは、それなりに時間をかけて丁寧にカットしてもらっていたのだなあと振り返ると実感できる。やっぱり、日本人としての呼吸が美容師さんとの間にあったのだろう。多くは語らずとも分かってくれるような。
アメリカでカットしてもらう時は、そんな文化的背景一切なしなので、それはそれは大変なのである。まず、日本の美容師さんのような丁寧かつキメ細かい対応は望めない。少なくとも我々庶民が行くところでは。ハサミだって、1本しか使わないし。 おそらく、アメリカ人男性ってのは髪なんてどうでもいいのだろう。確かに、奴らはどうでもいいようなジャガイモヘアーばかりである。
まあ、今日の自分の髪型だって3日もすれば慣れてしまうと思う。 ただ床屋とか美容院というものに対しては、単に伸びた髪を切ってもらうだけではないものを自分は求めたいのである。
Kyosuke
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