嗚呼!米国駐在員。
<目次>|戻る|進む
2005年05月03日(火) |
米国市民権はどんな魅力があるのか? |
寒い寒い。とにかく寒い。 日中は雪がちらつき気温は40F(約4℃)体感温度-6℃。一体どうなってるんだ!
昨年のこと、こうして駐在といえどもアメリカに住んでいるからだろうか、日本にいる数人の方から「大統領選挙はどちらに投票したの?」と聞かれた。 もちろん私は米国市民ではないから、米国内の選挙投票権はない。 それでは、永住権(いわゆるグリーンカード)を持っている人なら投票の権利をもっているかといえばそうでもない。日本にいた時は私もさっぱりこの違いと仕組みが分からなかったが、確かに住民票が存在しないアメリカは日本に比べれば少々ややこしい。 我々のようなヨソ者が、どうすれば市民権を得られるかといえば、まずは永住権を取得すること、そして5年が経つと米国市民権を申請することが出来る。 そして、市民権を取ったら、以下のような利点がある。 1)選挙に参加できる - 永住権保持者、非移民ビザ(私のような駐在員はほとんどがこのケース)の保持者は、選挙に参加出来ない。 2)公務員になれる - 永住権を持っていても公務員のポジションにはつけない。労働ビザ保持者は、スポンサー(雇用者)以外の元で合法的に働くことは出来ない。 3)相続税がない - 永住権保持者は、例え米国市民である配偶者が死んでも相続税を納める義務が生じる。逆の場合(本人が米国市民、配偶者が永住権保持)は必要なし。 4)親族の永住権取得期間が早い - 米国市民の配偶者、親、子の永住権申請は、年間制限数がないので、2〜3年で永住権が取得できる。永住権保持者が同様の申請をしようとすると、年間割当数が決まっているために順番待ちをせねばならない。 5)自由に出入国可能 - 市民は米国パスポートを取得でき、他国にいても米国政府の保護、援助、特権を受けられる。 我々ビザ所有者が米国に再入国する場合は、有効なビザスタンプが必要。永住権保持者が他国で長期滞在する場合は、専用の許可証が必要になる。また、ビザ保持者、永住権保持者が犯罪を犯せば、強制送還の可能性もある。 もっとも、永住権取得後5年たつと市民権の「申請が可能」というだけで、実際の申請作業はかなり複雑であると聞いた。
オフィスで働くアジア系移民の女性(永住権取得者)によれば、本人曰くはアジア系移民に対してはいくら正当なプロセスにのっとって申請したところで、なかなか許可がおりないとの事。彼女の親類が申請したそうだが、突然「明日の何時から面接をするから出て来い」と言われて、本人は他州におり面接が出来なかったそうだ。面接に行けなかった場合は最初から膨大な作業のやり直しだと。
この女性は、そんなやり取りを見て嫌気がさした、と市民権無し、永住権のまま過ごす事にしたという。 自分の場合は、永住権という権利はないよりはあってもいいと考えたこともあるけど、米国の市民権が欲しいなどとは全く考えた事がない。 市民権の利点といわれる上記5点は、少なくとも日本国民の自分にとっては、大枚はたいて弁護士雇って取得するほど魅力的なようには思えない。
それは、駐在員という会社に守られた状況で米国生活を送っているから、帰るべき国があるから、そう言えるのだろう。
Kyosuke
|