嗚呼!米国駐在員。
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2004年12月30日(木) イチローの焼肉の食べ方

12月30日。ようやく仕事収め。
今日来たメールは1件だけ。こんな日に仕事か、変わった米系企業もあるもんだ、と思ったが、よくよくみるとうちの合弁会社からだった。無駄に時間があるというのも、全く仕事がはかどらず。まあいいや、どうせ来週早々からまた出社だ。


昨日は就業後、会社の先輩と焼肉屋へ。
忘年会もないしたまには贅沢しよう、と、この地区では一番うまい肉を出す店へと車を走らせた。この店、メジャーリーガーがよく訪れる店としても有名だ。店内にはメジャーの選手のリラックスした写真やらサインやらが一杯で、日本ならば少々目につくかもしれないけど、ここアメリカではなかなかいい雰囲気だ。

以前にもこの店で高津投手と遭遇した事を書いたが、年の瀬のこんな時には、メジャーの選手どころか、いつも客で一杯の店内もすいていた。

「特」のつく和牛ばかりを贅沢に。いつもの事だが、ここの肉は最高、うまかった。

店内もすいていて、食後に韓国人のおかみさんに色々聞いてみた。
新庄選手以外は全ての日本人メジャーがこの店に来たという。野茂や大家は、次の日登板の予定がなければ、結構酒を飲んで楽しいんだと。また、たいがいの選手は必ず付き人に運転手させて来るんだけど、ヤンキース松井はタクシーで来店するらしい。みんな酒が飲めるようにという配慮だろうか。

中でもイチローは、3連戦の試合で3日連続で店に訪れると言っていた。何度かイチローが韓国料理好き、という記事(ココ)を読んだ事があったのだけど、そこまで好きだとは驚いた。

焼肉は焼肉でも、イチローは量や食べ方、もちろん種類まで自分できっちりコントロールしているから、毎日でも全然平気だと言っていたらしい。うーん、うまい肉を目の前にしながら自分を制する事が出来るとは…。野球で自分をコントロールする難しさは素人には想像つかないけど、これは大変だと分かるな。まあ、毎日食ってりゃそれも出来るか。肉と一緒にビールは飲むようだ。

イチローの注文するメニューはだいたい決まっているのだけど、ある時、イチローが訪れた深夜に、その内の一品を切らしてしまった。それを聞いたイチローは「僕が毎日来るの分かっていて何でなくなっちゃったんだよ〜(笑)」とすねたらしい。あはは。

このおかみさん。
日本に帰っている高津投手にも電話したりすると言ってたし、かなりよくメジャー選手の「素顔」を知っているのだけど、実は全くの野球音痴。

今年は、高津投手からホワイトソックスの試合を招待されて観戦に行って来たのだけど、マウンドに登る高津の真剣な表情にとても驚いた、と言っていた。普段、店ではそんな表情とは無縁で冗談ばかりのお兄ちゃん。日本で名球会入りするほど実績を残した投手というのも後で知ってびっくりしたらしい。

また、イチローも店ではとても気さくであり、球場でもそうなのだと思って、「私が行ったら、グランドからちゃんと手を振って答えてよ。」と御願いした所、「ここはホームグラウンドではないから、ちょっとそれは難しいですね。」と丁重なお断りを受けたらしい。

この会話だけでなく、店内の写真からも選手のリラックスした表情が伺える。この
おかみさんが全くの野球音痴だからこそ、逆にメジャーの選手も心おきなく自分をさらけだせるのかもしれない。


Kyosuke