嗚呼!米国駐在員。
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2004年12月29日(水) |
仕事が暇だと休まないアメリカ人 |
のんびりとした1日。 日本は28日で仕事納めだから、既にメールも何も来ない。クリスマス休暇なんてない、と言っていた中国からも何の連絡もないのは何故だろうか。アメリカでも取引先のほとんどが既に連休入りしており、昨日も今日もほとんど事務所の電話もならない。
つまり今週はめっきり暇で仕事もあまりない。ところがうちの支店のアメリカ人スタッフは見事に全員揃っている。 ニューヨークに電話したら、日本人駐在員は帰国やらVACATIONやらで誰もいないのに、やはり現地スタッフだけは全員出社していた。
どうでもいい時期に休み好きな現地スタッフが勢ぞろい、何故だろうか?
それは「暇だから」である。
現地のスタッフは、有給買取制度が適用されている。つまり、年間で決められた有給日数を消化しなかった場合、その日数分は会社に売る、つまり代わりに会社からしかるべき金額をもらう事が出来る。よって、年度末のこの時期、言葉は悪いが、「今週は仕事もなくてボスもいない。会社ではのんびりコーヒー飲みながらお喋りして1日過ごせるのに、休んだら損。」というような感覚らしい。全員が全員そう思っているわけではないのだが(特に経理関係は忙しい)、営業の多くはそんな感覚だ。
このように、営業社員であろうともスタッフのほとんどは成果給ではなく時間給の意識がすっかり染み付いている。
タバコを吸わないスタッフが、タバコを吸うスタッフを指して、「俺はタバコを吸わない。吸う奴と勤務時間が平等ではないのはおかしい。1日数分でも積み重なればこの差は大きい。代休をよこせ。」 と堂々と主張するくらいである。 それでいて、遅刻した時にその事を指摘すると、「お前だって新聞を就業時間内に読んでいただろう。俺は新聞は読まないから一緒の事だ。」という、なんとも訳の分からない理屈をつけられたこともある。
何とも筋違いな自己主張能力だけを身につけてしまったこうしたアメリカ人は、どうしたものだろうか。 最初はこちらが日本人だから、もしくは日本の会社だから馬鹿にされているだけ、と思っていたのだけど、どうやらそうではないらしい。基本的にはみんな実に素直でいい人なのだけど、どう考えたって奴らの考えは何かがおかしい。
が、彼らばかりを責める訳にもいかない。 これは、時間給のような契約をスタッフと結んでいるうちの会社のせいだともいえるのだろう。 アメリカ人の中には、我々サラリーマンが足元にも及ばない程の実力者も多いのは事実だ。しかし、実力勝負ができる人、能力を売れると考えている人の年俸は恐ろしく高くて、とても採用出来ない。よって、年俸を抑えた形で採用しようとなるとこうなってしまう。 もっとも、それだけ実力ある方たちは、わざわざ日系企業などで働こうなんて思わないはずだから、やっぱり我々とは縁がないのかもしれない。
Kyosuke
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