嗚呼!米国駐在員。
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2004年11月24日(水) 日産、操業停止

午後から大雪。嫌な季節が始まった。除雪車が登場しても、雪は次から次へと降ってきて道路に積もりっぱなし。
帰宅の運転が憂鬱だなあ。

日産が鋼材の調達難で操業を停止するという。
自然災害や自己の影響ではなく生産停止というのは、日本自動車産業の歴史でも極めて異例の事だ。
調達コストをぎりぎりまで削減したゴーン改革が裏目に出た。1999年の日産リバイラルプラン。自動車鋼板では、調達先を5社から3社に絞り込んだ。部品メーカーなどはかなり露骨に取引先を絞り込んだ。

いや、絞り込んだ、と言えば聞こえはいいが、つまりは調達先を切ってきた。
どんなに長年の取引関係があっても、日産の要求が呑めない仕入れ先は容赦なくばっさり切ってきた。日産に頼ってきた業者は泣いた。その為に廃業に追い込まれた企業も多い。そのドラスティックなやり方は、日本人でないゴーンだからこそ可能だったのかもしれない。

そのおかげで日産の業績はV字回復。
当時826億円の利益が2003年は8200億円になったのだから、経営者としてのゴーンの手腕は評価されるべきだろう。

ところが、おもわぬ事態が発生した。昨年来続いてきた鋼材のひっ迫で、肝心なモノが手に入らない。自動車メーカーといえども、当然であるが材料が手に入らなければ自動車は作れないのである。そんな、当たり前の事の重要性を今は痛いほど感じているのではないだろうか。

ゴーンのもと、日産は材料の調達先を絞りに絞り込んだ。
その限られたわずかな調達先のキャパは現在パンパンで日産の数量増という要求に答えられない。日産は慌てて過去の調達先にも材料調達の御願いをしたに違いないのだけど、過去に「切られた」取引先が、ただでさえ仕事が舞い込んで忙しいこんな御時世に、自分をばっさり捨てた昔の主人に戻るはずもない。

所詮、「ざまあみろ、日産」 と陰でほくそえんでいるに違いない。

こうなると、商売というものはやはり持ちつ持たれつだな、と感じる。特に日本では大事だ。ただ、こうした環境というのは歴史上前例のない事態なので、さすがのゴーンもここまでは読めなかっただろう。

絶好調な自動車販売の中で、今回の操業停止により日産がその流れに乗り遅れないように、と思う。


Kyosuke