嗚呼!米国駐在員。
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2004年11月21日(日) BIG3凋落 - 自動車を買い替えた理由とは

雇用者33万人、自動車最大手のアメリカGM。
今年1〜9月の売上高は1416億ドルで前年比3%増、純利益は8%増の30億ドルを誇る。
野望あるアメリカ人の学生は、まず米国大統領になることに憧れる。それが不可能と分かった時点で次にGMの最高経営責任者を目指すと言う。

「GMにとってもいいことは米国にとってもいいことだ。」〜こんな言葉が昔から存在するほど、GMの動向は自動車業界のみならず、米国経済に大きな影響を与えるのである。その意味で、リチャード・ワゴナー会長件CEOは、まさに米国経済の大統領である。

しかし、快進撃を続けたGMも、7〜9月の決算では北米自動車事業が赤字転落、明らかに陰りが出てきたのである。いや、GMだけでなく、フォードも赤字転落。明らかに勢いが落ちてきている。


最大の理由と言われるのは原油価格の高騰。バレル30ドルから50ドル台まで上がるとは、誰が想像していたであろうか。

それでもワグナー会長は強気の発言を繰り返す。
「消費者はパニックになっていない。ピックアップトラックやSUVから小型車に乗り換える動きも無い。自動車需要が大きく崩れた訳ではない。米国経済は今年も来年も成長する。」

本当かよ!?


昨日、ヒマにまかせて何軒か自動車屋を巡って唖然とした。
燃費の悪いピックアップトラックやSUVの中古市場の価格がどんどん落ちている。客は燃費のいい日本車を求めて買い替えを急いでいる。これから冬になって、上昇してきた暖房費の負担がただでさえ気になる季節が続くので、この傾向は止まらないようだ。

消費者は敏感だ。ガソリンスタンドの店で売られるLOTTERY(宝クジ)の売上げが落ち込んでいるのだって、高騰するガソリン代を支払った上でクジなんて買う気持ちの余裕がなくなっているからだろうに。

昨日のこと。かくいう自分も、実は衝動的に愛用の米国車トラックを売って、ここでは外車であるトヨタカムリを買ってしまった

憧れて買った自分のトラックは半年前までは人気があったモデルだったのだけど、今や「新車でも店頭で5000ドル引き、それでも売れない。」という事で買いたたかれた。燃費が悪いのが明らかに敬遠されているという。それでも、これから来年にかけては更に一層のマーケット冷え込みが予想されると思ったので早めに手を打った。

一方で、トヨタ、ホンダを初めとする日本車ディーラーは強気一辺倒であった。黙っていても次から次へと客が押し寄せてくるから、たまらない。新車を買ったトヨタなんてコーヒー1つ出やしない。喉が渇いたといっても、裏に自動販売機がある、と面倒臭そうに指をさされるだけ。買い手として強気の価格交渉をしたら、机をたたいて「もうたくさんだ!」とどなれらる始末。

それでも、その場で新車を引き取り自宅まで運転して驚いた。燃費は街乗り平均でガロン30マイル(リッター12キロ)。トラックがガロン10くらいだったから燃費は約3倍に伸びている。これは経済的に大きい。車を買い替えて良かったと思った。色々調べてみたけど、燃費効率、安全、故障率。デザインや排気量の好みを除けば全てがやっぱり米国車は日本車に及ばない。

これはアメリカのガソリン価格のサイト。ガソリンがこれだけ高騰してきて先の見えない中、自分のように米車から日本車に乗り換える単純な消費者というのは、これからも増えてくるに違いない。

どうする? 米国経済の大統領さん。


Kyosuke