嗚呼!米国駐在員。
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2004年10月10日(日) |
「価格破壊」城山三郎 |
「価格破壊」城山三郎著 読了。
日本食スーパーで、「ご自由におとりください」のカゴに入っていたボロボロの文庫本だ。先週の出張の際に何となく読みはじめて、あまりの面白さに一気に読み終えた。
自分が生まれる前、昭和44年に発表された小説にも関わらず、今読んでも何か元気ずけられるこの小説。おすすめである。 戦中派の主人公、矢口は激しい生命の燃焼を求めてサラリーマンを廃業、安売りの薬局を始めた。メーカーは安売りをやめさせようと執拗に圧力を加えるが、それに打ち勝ち事業活動を大きく拡げる。
この小説、某スーパー経営者をモデルにしているのだろう。 戦中体験を基盤とした主人公の強烈な行動力で、次々と押し寄せる試練と嫌がらせを乗り越え、個人商店から大スーパーに成長させていく主人公の生き様。矢口の言動には、非常に刺激となりかつモチベーションとなる要素が多く含まれている。不思議と実に新鮮な印象を受ける。
価格破壊という熱い情熱だけで生きている矢口の、沸騰するような生命力があまりにも激しい。その激しさ、熱さというものが、サラリーマン10年を過ごした自分が忘れていたようなものを思い出させてくれたような気がした。
こうしてがむしゃらに突き進むこと。主人公が戦時中に死をさまよった強烈な体験から来るものか。 世間を変えるような新しいことをはじめる人は、みんなこうなのだろうか。並々ならぬ精神力の強さを感じる本であり、ぼやぼや生きてられないや、と思った。
Kyosuke
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