嗚呼!米国駐在員。
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法廷(Court)へ来いという手紙が来たのは1ヶ月ほど前。 時間と場所が指定してあり、titleは、「The State of Illinois -VS- 自分の名前」。そこにはスピード違反をした時のチケット番号が書いてある。
確かにスピード違反で捕まったのは事実だけど、その場で違反金の75ドルも払ったのに何故裁判所に行かねばならんのか?スピード違反っていっても、1度しか捕まっていないし、たかだか30キロ弱ではないか?と疑問も多いのだが、手紙には指定の時間に来なければ逮捕状も発行できる、とか、違反金が積み増しされる、とか恐ろしい事が書いてあるので、とりあえず昼の1時に指定の場所へ向かった。
「COURT」と書かれた扉を開けると、そこはテレビドラマの法廷の世界。 両端には弁護士がズラリ、警官もズラリ。中央には裁判官のオヤジがどっしり。集められた大衆は100人はいただろう。正直、「オイオイ、こんな所で何するんや」とビビッてしまった。
と、突然警官が名前を1人1人呼ぶ。それもすごい勢いで。呼ばれた人は「Here!」と叫んで列に並ばねばならない。何が何だか分からないまま、とりあえず15人ほどがたてに一列に並んだ。更にその中から、裁判官が個別に名前を呼んで呼ばれた人間は前へ出なければならない。1人1人罪状が読み上げられて、それを認めるかどうかを問われる。傍聴席(待機席か?)からは詳しくは何を言っているかさっぱり分からないが、どうも「認めない」と言った場合はあれこれ聞かれて別の担当にまわされるようだ。
中には事故の被害者と加害者らしき人間が並べられる場面も出た。英語が理解出来ない、と言ったメキシコ人には、「誰か通訳をしてくれませんか」と裁判官が助けを求め、待機席に座る1人が通訳を手伝った。ちなみに通訳した男性、名前を聞かれて一気に順番が前倒しになっていた。
ちなみに待てどくらせど自分の名前が呼ばれない。 100人ほどいた人も、もう10人もいない。呼ばれたのに気がつかなかったかなあ?どうなるんやろか?と不安になったときに、たどたどしく(日本人の名前だから)自分の名前が呼ばれた。更に列に並んで15分くらい。ようやく裁判官の前に歩み寄る。
「スピード違反ですね。 Guilty? or NOT Guilty? (罪を認めるか?それとも認めないか?)」 「ハイ、認めます。」 「違反は何度目?」 「今回が初めての違反です。」 「罰金は75ドル。以上。」 「ちょっと待った。もう金は払ったんですけど。」 「これ以上は別の担当と話して」
指をさされた担当の前に行くと、 「帰ってよろしい」 「えっ?帰っていいの?」 「OK」
こうして私の初裁判は終わった。1時間半待ってわずか30秒。 これを行くことに何の意味があったのだろうか。交通違反をしたらみんな行かねばならないのか。本当によく分からんので明日会社のスタッフに聞いてみよう。
おそらく、自分が罰金を払ったのは取り上げられた免許書を取り返すためだけ、という位置づけがされており、罪を認めるかどうかは別問題という整理がされたような感じである。そういえば、捕まったときに色々書類をもらったのだけど、自分はもう罰金を払ったから不要と思って全く目を通していなかった。
たかだかスピード違反で、といってしまえばそれまでだけど、罪の大小に関わらず第三者が公平に罪を裁く姿勢はアメリカならではなのかもしれない。
でも、もう法廷も面倒くさいので、スピードにはくれぐれも注意することを誓った。その意味では効果があったのだろう。
Kyosuke
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