嗚呼!米国駐在員。
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2004年05月21日(金) 怒涛の中国出張 その2

中国2日目。
朝6時過ぎに電話のベルでたたき起こされる。遅れてやってきた米人がようやく北京到着、ただしホテルもチェックインできないので部屋にいっていいか、という。もちろん快諾、といっても同じ会社といってもお互い初対面なので挨拶を交わして狭い部屋に2人。また、コイツがえらいデカイ奴で、小さな部屋は実に暑苦しかった。

朝飯でのんびりホテルの出入りを見ていると、出張だろうか、下品そうな日本人オヤジたちのグループが目立つ。お偉いのデブチビハゲメガネを取り巻き親父が囲んでいるパターンが多い。実にエラソうで不愉快だな。こんなおっさんは久しぶりに見たからであろうか。また、おばさんの団体旅行も多いようだ。北京にはイトーヨーカドーも吉野家もあって、街はオリンピック前で活気があるように感じた。

せっかくの北京でもっとゆっくりしたかったのだが、午後にはビールで有名な青島へ移動。
取引先に迎えにきてもらい、更に車で飛ばして2時間以上走る。そこそこの田舎にきた感じで、人の顔が変わってきて額の狭いサル顔が目立つようになる。男は松坂大輔、女は卓球の福原愛みたいなのが多いな。ははは。

無駄にロビーだけでかいが薄くらいホテルに到着する。街で一番のホテルということだった。HOT SPRING HOTEL(温泉酒店)という名前だが、温泉は全くでないという。部屋のカギをもらった後、取引先の通訳がカウンターで何やらもめている。何をやっているのか問いただすと、午後6時以降は電力がなくなるので明かりがない、と突然言ってきたと言う。おいおい、そんなところでどうやって泊まるんだよ。仮にもホテルだろうが、しかもチェックインする前に言えよな。
という訳で、慌ててホテルを替えてもらう。ある程度のトラブルは予想していたが、こんなのは予想しようがないよな。

別のホテルでとりあえず部屋に入る。荷物を運んでもらったベルボーイの若造が、突っ立ったままなかなか帰ろうとしない。そのうち、人差し指、中指と親指とをこすりだした。ははあ、チップだな。しかし、おもろい要求の仕方だ。中国はいらないと聞いていたけど、しょうがないから手元の小銭を渡す。日本円で200円くらいだったから、こっちならまあまあの額のはずだ。喜んで帰ると思いきや、コイツは更に指を激しくこすりだした。なんていう奴だ。ここで勘違いされてもこまるので、きっぱり断るが、一切視線をそらさずに指をこすりつづける。一言も発せず真っ黒に焼けた顔の青年、その迫力たるや、密室の中で恐ろしいくらいのものだった。
ただ、こちらもそれ以上は渡すつもりもないどころか、馬鹿にされた気がして腹がたってきた。少々やりすぎと思ったけど、渡した札をひったくって、片言の中国語で「要らないのか?帰れ!」と大声でどなりつけた。それでもこの男、じーっとこちらの目を見つづける。今度は不気味になってきて、ひったくった札を差し出すと、無言で受け取り去っていった。なんてこった。こんなやり方で過去にチップをせしめてきたんだろうな。

しばらくすると、隣の部屋に入った米人から電話が入る。ベルボーイが帰らないが一体どうなってるんだ、って。笑いをこらえきれずに部屋に入ると、こっちにきたのと同じ若造が、大柄の米人の前で激しく指をこすっていた。でも、こちらの姿を見るやいなや黙って部屋を出て行った。米人の部屋に荷物を運んだのは別のベルボーイ、なんでおまえがこっちの部屋までくるんだって。いやいや、ここまでくれば大したもんだな。それにしてもこの米人、突然見知らぬベルボーイが部屋に入ってきて変な動きを始めて、えらい戸惑ったようだ。
いやあ、笑った笑った。思い出すだけでいまでも笑えてくるな。このベルボーイもたいしたものだが、単に世間しらずというだけかもしれないな。

中国3日目。
田舎でパソコンどころか電話の通じも悪い。
朝から某中国企業と面談。その後工場見学をして会食。
それにしても、話には聞いていたが、廉価で豊富な労働力を使った中国の工場には驚いた。遊びたい盛りの18歳前後の男女が一心不乱に作業に取り組む。実にまじめで熱心だ。電車でタバコ吸ったり化粧するような日本のクソガキ達に爪の垢でも飲ませたいくらいである。
この会社には本当にお世話になって感謝。一生懸命さと親切さがみにしみた。

そうそう、こちらが日本人と分かると、三浦友和と山口百恵はどうしている?彼らの映画は日本でも大人気か?とあちこちで聞かれるが、一体いつの時代の話やねん。
また、アメリカから来たというと、NBAバスケットボール選手の Yao Min(漢字不明?)は中国出身だぜ、と得意げに言う。アメリカで活躍する彼の存在は、中国人の誇りとなっているようだ。


中国4日目。
朝5時ホテル発で空港へ。取引先もわざわざ2時間走って空港まで見送りにきてくれる。別れ際に涙さえ浮かべてもらい、こちらも感動である。
米人と別れて1人で8時のフライトで大連へ行く、はずだが、これが遅れる。といっても理由も何もさっぱり分からない。英語で質問しても中国語でまくしたてられさっぱり分からない。それでも2時間後にようやく出発。
出迎えにきてくれた取引先と挨拶も早々昼飯に連れて行ってもらう。
ランチはは「ジョーズ」を食べる、というのだが、鮫の肉かと聞いても何やら話が通じない。それどころか、日本でも有名なはずだ、と言う。 店の前に行くとようやく分かった。「餃子」である。これをジョーズと言っているように聞こえる。専門店だからか、肉の種類から調理方法から皮の種類から野菜の種類までチョイスが多すぎて頼んでいる方も訳がわからなくなってくるのだが、味の方は実に結構。

昼から国営企業訪問。怪しげな制服をきた人間がズラリ。こいつらが笑顔ひとつ見せずに淡々と中国語を話す。のこのこ1人で出かけた自分はまるで詰問を受けているようで、面談終了後はどっと疲れる。

夜は火鍋をごちそうになる。とにかく辛くて途中からは味もなにもわからなくなる。あまりうまくはなかったな。

中国にきて会話は基本的に英語を使う。ただ、中国人もパーフェクトではないので、こちらも非常に気分が楽である。少なくとも、アメリカ人と話すよりも語学的には互角もしくはそれ以上になるので、それだけでも気持ちが違う。ただ、アメリカとは別の意味でこちらの意図が通じているかどうかが不安になる。
数年前に日本から中国に行った時は、いいかげんだなあ、と思ったものだけど、今回アメリカから来てみると、いいかげんだなあ、と感じることは全くないといっていい。ウェイターから何から、結構みんなまじめで一生懸命という印象を強く受ける。非常に心地がいい。いかにアメリカがいい加減というか、日本人には受け入れがたい行動、例えばガムをかみながら接客するとかいう行動が多いかなのだろう。
今日は6日目で上海。とても5日目以上をアップする気力がないので、これにて今日は終了。それにしても、スケジュールがタイトすぎるなあ。観光どころじゃないよ。まあ仕事だから観光するなっていわれりゃそれまでなんだけど、せっかくアメリカから13時間もかけてきたんだから、ちょっとは息抜きがしたい。


Kyosuke