嗚呼!米国駐在員。
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2004年05月08日(土) 日本の国民年金問題 世界の報道は?

福田康夫官房長官が国民年金不払いで辞任を表明。
ネットの情報だけだけど、えらいあっさり辞任、よく言えば引き際がいいな、と感じた。同じく年金未納が発覚した管代表がグダグダと言い訳しているにに比べれば、はるかに早い決断だ。何か他に理由でもあったのだろうか。福田官房長官の、あの人を食ったような独特なもの言いもかれこれ1年間見ていないけど、相変わらず報道陣の質問に冷静な顔をしてキレたりしていたのだろうか。

官房長官はChief Cabinet Secretary。まさに国家のスポークスマンであるが、辞任の理由が国民年金未払いというのもずいぶんとセコイ話だよなあ。世界のBBCニュースで顔写真つきで報道されてしまうのを見ると、あまりに器が小さいというか情けないというか。「制度が分かりづらい」って、政治家であるアンタ達がそんな事言ってどうするんだって。

それにしても、国民年金未納問題は江角マキコで火がついたな。
New York Timesでは "A Tough Sell"というタイトルで、日本の国民年金について特集されており興味深い。

20才以上の自営業と学生は約1800万人いるが、その中の40%が年金を払っていないという。アンケートでは、20代の81%、30代の74%が国民年金そのものを信用していない。システムそのものがもはや信用できなくなっているのは、当然のことではなかろうか。国からは納得いく明確な説明もないんだから。

記事によれば、現在の日本の出生率は世界でも最低に入る。15才以下の人口は昨年20万人も減って、人口の13.9%しか占めないが、この数字は過去最低という。一方で、アメリカを見ると15歳以下の人口は21%もある。
国民年金制度が始まった1950年代は、15歳以下の占める割合は35%で65歳以上は4.9%。1970年以来、年金受給者を支える労働者は、8.5%から3.5%にまで落ち込んでいるという。
ある調査では、この低出生率が続けば2044年には、老人と労働者の比率が同程度までになるようだ。女性の晩婚化も指摘されている。2000年では20代後半の女性のうち54%が未婚だったが、1980年代に比べてこの比率は倍増している。一見、独身のキャリアウーマンが多いように見えるアメリカでも、20代後半の未婚比率は31%である。
こういった日本が抱えた事情に柔軟な対応が出来なかったことも、国民年金制度が破綻しつつある原因であろう。

じゃあ、どうすればいいのか。
1つの意見として日本はもっと移民を受け入れよ、そしてもっと市場開放せよ、と述べられているが、早かれ遅かれ抜本的な制度を導入しなけりゃどうしようもないでしょう。でも、日本の世の中を動かす世代は、自分らが恩恵を受けさえすりゃこのままで良い、って思ってる人が多くおそらく何もしないだろうから、若い世代が本気で取り組まないと世の中は変わらない。

この国民年金、我々サラリーマンは自動的に強制的に取られているのだけども、こうなりゃ学生も自営業者も、任意ではなく強制的に18歳以上の全国民から取るしかないかとも思う。そうじゃなきゃ、律儀にまともに払ってる(というか、自動的に取られている)のがバカバカしくなる。国民年金に関しては、正直モノにならざるをえない全国のサラリーマンが、将来損をする事だけは止めて欲しいのである。


Kyosuke