嗚呼!米国駐在員。
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2004年04月20日(火) 太宰治

会社に置いてあった太宰 治の全集を読んだ。が、短編集主体なので、しばらく読んであまりにつまらないのは飛ばしたのだが、とにかくどれも恐ろしく暗い。時代背景によるものだが、明るい内容でも重々しい。

太宰といえば「人間失格」があまりにも有名。高校時代に、友人に勧められて読み(それにしても、15歳でよくそんな会話があったものだと今でも不思議なのだが)、大学時代にも読んだ記憶があるのだが、今読み直すと全く内容を覚えていない事にきがつく。主人公は自分の本当の性格を隠すように常に演技をする。しかし他の人もみんな演技しているのであり、その人はもっと偽善的である。他の人々の演技は社会の無言のしきたりに合っていてあまりにも当たり前なので、誰もが意識をしないのだが、主人公は自分が演技していることを常に意識しており、それについての後ろめたさを感じているので、今に自分の正体がばれるのではないか、とびくびくしている。そして結局抵抗し続けることが出来ずに自殺を思い立つこともある。

これはだすがに読んでて疲れた。どことなくドストエフスキイの痛ましさを思い起こさせる。

個人的に気に入ったのは、「ビィヨンの妻」と最後の小説「グッド・バイ」。ただ、もう太宰の小説はしばらく読まないだろうな。小説の素晴らしさは認めるが、今の自分にはあまりにも内容がツマラナイ。

そういえば昔、どこかの大学入試に、こんな試験が出たのが忘れらない。

問)次の文章ではじまる小説の作者と題名を選びなさい。

朝、食堂をスウプを一さじ、すっと吸ってお母様が、
「あ。」
と幽かな叫び声をお挙げになった。

答えは、太宰治の「斜陽」なのだが、当時回答が全く分からずによく覚えている。
それにしてもこの問題、恐ろしく愚問だなあ。今の大学入試もこんな問題やっているんだろうか。


Kyosuke